研究課題/領域番号 |
63880019
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
高木 俊夫 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00029943)
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研究分担者 |
久保田 英博 アトー(株)技術開発部, 学術研究課, 課長(研究員)
亀山 啓一 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (60177607)
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キーワード | 電気泳動 / 可視化 / ゲル電気泳動 / シュリ-レン光学系 |
研究概要 |
ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いると高感度・高分解能でもってタンパク質、核酸などの生体高分子の分離分析を行うことができるので極めて多くの研究者によって活用されている。しかし、その結果が明らかになるのは、泳動終了後の染色によるのが常である。本研究は現代化されたシュリ-レン光学系を導入することによって、ポリアクリルアミドゲル電気泳動のリアルタイムでの検出を可能にしようとするものであった。既に、初年度において実用段階に達した装置の試作とその活用によるSDSーポリアクリルアミドゲル電気泳動に際してゲル中で起こる諸現象の解明を行った。 本年度においては、次の様な成果を挙げる事が出来た。1)電気泳動の進行を画像処理装置によって追跡・記録・解析する方式を確定した。2)重合の進行あるいは試料バンドの進行に伴うゲルの歪の発生の状況に関する知見を収集・整理した。3)シュリ-レン光学系を活用することによって、線状ポリマ-濃厚溶液中において、ゲル中に匹敵する見事な分離が起こる事を見出した。 特に、3)に記した知見は電気泳動の将来に次のような新たな局面を切り開く事が出来る可能性を秘めている。 1)最近において長足の進歩を遂げつつあるキャピラリ-電気泳動に線状ポリマ-方式を導入すると興味のある研究を実施できる。すなわち、キャピラリ-中にゲルを形成させる必要がないのでキャピラリ-の再使用が可能となる。2)ポリマ-の種類の変化、重合度の差異、異種類ポリマ-の混合などによって分離の様態と効率がどの様な影響を受けるかを明らかにする事が出来る。3)特に、希薄な線状ポリマ-溶液中では在来のゲル電気泳動によっては分離が困難であった超巨大粒子の分離に有効な新手法の開発が可能と考えられる。この様な新手法の開発の可能性を考えると、シュリ-レン光学系を用いて収集できる基礎デ-タの重要性はいっそう高まってきたと言えよう。
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