ポリアクリルアミドゲル電気泳動を用いると高感度・高分解能でもって蛋白質あるいは核酸の分離・分析を行うことが出来る。しかし、見事な分離の状況が明らかになるのは泳動終了後に染色を行ってからである。また、染色処理の際にゲルの変形が起こり定量性が減殺される。本研究は現代化されたシュリ-レン光学系をポリアクリルアミドゲル電気泳動の検出手段として導入することによって、ポリアクリルアミドゲル電気泳動のリアルタイムでの定量的な検出を可能にしようとするものであった。 既に、第一と第二年度において在来のポリアクリルアミドゲル電気泳動の可視化に関しては所期の目的を達成することができた。サらにゲル中において生起しながら従来は看過されてきた諸現象の検出と解明にも成功した。 昨年度の終期において、我々は線状ポリアクリルアミド濃厚溶液が架橋線状ポリアクリルアミドと同様に分子ふるい効果を持つ媒体として機能することをシュリ-レン光学系による検出によって初めて直接的に確認することに成功した。本年度においては上記の問題の検討を続行した。その結果、この種の媒体中における電気泳動の検出手段としてシュリ-レン光学系が非常に優れていることが明らかになった。別記の通り、既に1報を投稿中である。キャピラリ-電気泳動において、この種の媒体を活用する動きがあるので、上記の研究はその分野での線状ポリマ-の活用に当たっての基礎的デ-タの供給源としても期待されるようになってきている。 上記の結果を基礎として新たに“無架橋線状ポリマ-電気泳動"を研究するプロジェクトを企画した。以上のように、本試験研究課題は当初の目的を十二分に果たしたに止まらず、その成果をさらに新たな展開の端緒に結びつけることが出来た。成果の総合的な取りまとめは、成果報告書に詳細に記載する予定である。
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