研究課題/領域番号 |
63880020
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研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
フレデリック.一朗 辻 大阪バイオサイエンス研究所, 第2研究部, 研究部長 (80201755)
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研究分担者 |
エリック M・トンプソン STAフェロー(科学技術庁フェロー), 大阪バイオサイエ, STAフェロー (90203661)
長野 晃三 東京大学, 薬学部, 助教授 (30012636)
早石 修 大阪医科大学, 学長 (40025507)
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キーワード | エクオリン / 発光蛋白質 / カルシウム結合蛋白質 / アミノ酸配列 / 再設計 / グリシン / システイン / グラフイックスソフトウエア |
研究概要 |
エクオリンは189個のアミノ酸から成る発光蛋白質で、三つのカルシウム結合部位と三つのシステイン残基を持っている。辻はエクオリンの遺伝子の過剰発現法と蛋白質の急速精製法を開発したので、特定のアミノ酸部位を改変することによりエクオリンの再設計を行い、発光能を実験的に調べることによって野生型のエクオリンとは性質が異る有用な蛋白質を得る可能性が開けて来た。本研究ではカルシウムイオン以外の金属イオンに選択性のある蛋白質を得ることを目標にしている。最初に三つのカルシウム結合部位を構成する連続12アミノ酸部分の6番目に例外なく存在するグリシン残基をアルギニン残基に一つづつ置換したところ、N末端側から数えて1番目の部位では100%活性が失われ、2番目の部位では50%失われ、3番目の部位では全然影響を受けないことが明らかとなった。エクオリンは既にX線結晶構造解析によって酸性条件下での三次元構造が明らかにされているカルモデュリンとアミノ酸配列が似ており、5ー61と112ー171がカルモデュリンの1ー57と88ー147にホモロジーが高い。長野は丸善分子模型を組立て、3SPACE digitizerで原子座標を測定し、菱化システム社から購入したグラフィックスソフトウエアINSIGHTを用いて良く観察したところ、上記の実験結果はカルモデュリンと同様の三次元構造では説明出来ないことが明らかとなった。三つのシステイン残基をセリン残基に置換して活性を測定したが、145、152、180の三つ共に置換した蛋白質は発光は野生型と同様に起こるが再生が起こらないのに対して、152のみがシステイン残基として残っているものは再生が起こることが明らかとなった。このことはエクオリンの104ー112の領域がカルモデュリンに比べて疎水性が高いことと共に、dimer相互作用が重要な役割を果していることが明らかとなり、今後の再設計実験計画を進めて行く上で有用な指針が得られた。
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