研究課題/領域番号 |
63880021
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 京都大学, 化学研究所, 教授 (30027023)
|
研究分担者 |
田中 英彦 岡山大学, 農学部, 教授 (90065912)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
|
キーワード | 同位元素標識法 / 微生物酵素 / アミノ酸 / ビタミン |
研究概要 |
本研究は高度な特異性を有する酵素の特徴を利用して、特定部位を立体特異的に安定同位元素や放射性同位元素で標識した各種アミノ酸およびビタミン類を効率よく合成する方法を開発することを目的としている。まず、L型酸性アミノ酸に特異的に作用するL-アスパラギン酸トランスアミナ-ゼに着目し、物質生産に好適の高い安定性を有する酵素を検索した。土壌より、高いL-アスパラギン酸トランスアミナ-ゼ活性を示す好熱性殺菌を単離し、本菌より本酵素を精製した。本酵素は耐熱性が高く、70℃、30分間の熱処理によっても全く活性を失わない。本酵素遺伝子を大腸菌にクロ-ン化し、その高い耐熱性を利用して本酵素を効率よく精製する方法を確立した。本酵素反応を重水中で行うことにより、2位と3位が共に重水素化されたL-アスパラギン酸を効率よく調製する方法を確立した。結合補酵素、ピリドキサルリン酸を解離させたアポ酵素を用いることにより、4位が立体特異的に重水素化されたピリドキサミンを調製することが可能であり、効率の良い生産法を検討した。ジアミノピメリン酸デカルボキシラ-ゼはメゾジアミノピメリン酸のD型立体配置のα炭素を攻撃し、脱炭酸してL-リジンを生成する。重水中で反応を行うと、6位が立体特異的に重水素化されたリジンが生成する。また、アミノ酸ラセマ-ゼであらかじめジアミノピメリン酸のα位及びε位を重水素化しておき、軽水中でジアミノピメリン酸デカルボキシラ-ゼを作用させると立体配置の反転したL-リジンを生産できる。本酵素をBacillus sphaericusより均一状態に精製し、本酵素を用いてC6-重水素化リジンを効率よく生産する方法を開発した。こうして生成したアスパラギン酸や、リジン、ピリドキサミンの重水素標識体を取り込ませる系としては、耐熱性L-アスパラギン酸トランスアミナ-ゼが最適であり、本酵素遺伝子の高発現クロ-ン株を作成した。
|