研究課題/領域番号 |
63880021
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
左右田 健次 京都大学, 化学研究所, 教授 (30027023)
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研究分担者 |
平沢 敏子 京都大学, 化学研究所, 教務職員
吉村 徹 京都大学, 化学研究所, 助手 (70182821)
江崎 信芳 京都大学, 化学研究所, 助教授 (50135597)
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キーワード | 同位元素標識法 / 微生物酵素 / アミノ酸 / ビタミン |
研究概要 |
標識アミノ酸をランダムにタンパク質中に取り込ませる従来の方法と異なり、特定の位置に標識したアミノ酸を取り込ませる新しい方法を開発することを目的として、アミノ酸生産等に有用なアミノ酸代謝関連酵素、特に耐熱性のピリドキサル酵素であるアスパラギン酸トランスアミナ-ゼを対象として、ピリドキサルリン酸を結合するリジン残基をシステイン残基に置換した後、チオ-ル基の高い反応性を利用して、エチレンイミンで修飾し、このシステイン残基をリジンのアナログであるSーβーアミノエチルシステイン(SAEC)に変換させることを試みた。アスパラギン酸トランスアミナ-ゼとしては、我々が既にクロ-ン化し、その遺伝子の塩基配列を決定しているBacillus sp・YMー2由来の耐熱性酵素を用いた。本酵素は、システイン残基を含まないことから、活性中心リジン残基をシステイン残基に置換した後、エチレンイミンによる特異的化学修飾が可能な酵素である。調製した活性中心リジン残基をSAECに置換した変異酵素(K239SAEC)は、アミノ酸分析により、システイン残基がSAEC残基に置換されていることを確認した。K239SAECは、野生型酵素の25%の活性を示し、補酵素PLPとシッフ塩基を形成することが確認された。このことは、リジンのアナログであるSAECが活性中心リジン残基の役割を果たしていることを示している。SAECは、構造と性質においてリジンときわめて類似しており、酵素はこれらを区別できないが、酵素タンパク質中のリジン残基も機能を保持した状態でSAECで置換できることが明かとなった。以上のことから、炭素、窒素、水素をそれぞれの同位元素で標識したエチレンイミンを用いれば、タンパク質の特定のアミノ酸を標識できることが判明した。
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