研究課題/領域番号 |
63880023
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 正夫 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (20013857)
|
研究分担者 |
高辻 俊宏 長崎大学, RIセンター, 助手 (70163219)
二階堂 修 金沢大学, 薬学部, 教授 (60019669)
星 正治 広島大学, 原爆放射能医学研究所, 助手 (50099090)
池永 満生 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (70025378)
|
キーワード | 特性X線 / 軟X線 / X線発生装置 / 放射線生物学 |
研究概要 |
本研究では、最近放射線生物学の分野で急速に関心が高まってきている単色軟X線を発生させる特性X線生物照射システムの試作に取り組み、昭和63年度にその基本部分が完成した。世界で第5機目、我が国では第1号機となった。本年度は、X線測定システムの完成、性能試験、照射条件の設定および発生装置を実際に使った生物照射の実験を行なった。 標的金属としてアルミおよび銅を選び、X線管の電圧特性、電流特性を調べた結果、5kV以下の超低電圧領域でも高度に定安した高性能の装置であることが証明された。フライトチュ-ブ内に設置したリング型モニタ-用イオンチェンバ-は、本機特有の新しい試であったが、超軟X線に対しても高精度で動作することがわかった。直径46mmの試料照射野内の線量誤差は1%以下であり均一な線量分布をする。その他、フライトチュ-ブのHeガスの流量、比例計数管のPー10ガスの流量、ガス置換の速度、適正印加電圧などの条件設定を行なったのち、エネルギ-スペクトルの測定、外挿チェンバ-による線量の絶対値の決定、吸収特性を調べた。制動放射によるX線の混入は、銅KαX線で10%、アルミKαX線では1%以下に下げることができ、また線量率はKαX線で149rad/mA/min、アルミKαX線で6.3rad/mA/minという世界で最も高い線束が得られることがわかった。生物試料照射用のホルダ-を作成し、ハムスタ-培養細胞で致死効果に関する実験を行なった。線量効果は3回の繰り返し実験でも再現性が高いことが確認された。 超軟X線領域は、生物学的効果についてもそうであるが、線量の測定や制御など物理学の分野においても開発的要素が多い。他の分野への波及効果も大である。本機が完成したことにより、英国メディカルリサ-チカウンシルからは相互比較を中心とした共同研究の申し込みがあり、国際的にも国内的にも本機を利用した研究の成果が期待できる。
|