研究課題/領域番号 |
63880024
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研究種目 |
試験研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
原子力学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉原 賢二 東北大学, 理学部, 教授 (90004423)
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研究分担者 |
伊澤 郡蔵 東北大学, 理学部(平成元年3月31迄), 助教授 (80004373)
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研究期間 (年度) |
1988 – 1989
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キーワード | トリチウム / 放射壊変 / 突発型音響発生 / PZT検出器 / ガス発生型シグナル / 亀裂発生型シグナル / ヘリウム-3放出 |
研究概要 |
本研究においては放射壌変後の超音波測定という世界ではじめての研究をおこない、種々の成果を得た。 東北金属製PZTを音波検出に用いて検出部を試作した。検出部は試料用セルと参照用セルの2個に対して用いた。本補助金によって購入した超音波測定用ウェ-ブメモリ-(エヌエフ社製)を試作検出器に接続し、試料セルからの音響と参照セルからの音響を同時に測定することによって真のシグナルとノイズとの区別を明確にした。 この装置によりチタン金属膜(銅基板)にトリチウムを吸着させた試料を測定したところ、試料セル側からノイズとは明らかに区別される突発型の音響シグナルが現れることが分かった。これはトリチウム試料に特有のものでふつう150μs程度で終る。これには少なくとも3種の成分があり、本研究ではA型、B型、C型と名付けた。A型がもっとも多く見られ、200kHz前後、B型が400kHz以上、C型は100kHz前後の音響である。これらの成分は複合して現われることもあり、Bにひき続いてAが現われることや、Aにひき続いてCが現われることもある。また同じA型でも時間差をもって繰返し現われることもある。 これらはBetteridgeらが以前に化学反応後の音響測定をおこなった例と比較することができる。われわれの得たA型シグナルはかれらのガス発生型に似ており、B型は亀裂発生型に似ている。 実際にトリチウム壊変によって生成する^3Heが系外に放出されることを四重極質量分析計により確認した。したがってわれわれの実験でもっともよく見られるA型は^3He放出のさいの音響である可能性が強い。 音響シグナルは発生源付近の状態を反映していることを推定させるパタ-ンとなっており、今後この方面の研究の発展に期待がもたれる。
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