研究課題
本年度の主要研究項目は(1)大領域走査型トンネル顕微鏡の設計・試作を行うこと(2)ATP分子やイオンチャネル分子の直接観察を行うこと(3)イオンコンダクタンス顕微鏡の検討を行うこと以上3項目であった。このうち(1)は完了し、(2)(3)は未完であって、最終年度に持ち越されることとなった。先ず(1)については、光学顕微鏡とSTMとを如何にして組み合わせるかということが一番の問題であった。当初光学顕微鏡のリボルバ-方式にしてみたが、位置合わせがうまく行かず、結局平行移動方式にすることで落ち着いた。この方式の特徴は、先ず観察したい材料の局所を光学顕微鏡(対物×10)で設定し、その後×40、×100というように順次観察部位を追い込み、最終段でSTMに切換える方式を取り入れた所である。これまで生体試料を観察するためにはSTMの倍率が高すぎ、どこを観察しているかよく分からないという欠点があった。この欠点を克服するために、我々は光学顕微鏡と組み合わせるというアイデアを思い付いた。このアイデアは、セイコ-電子工業の新型STM(半導体表面観察用)のアイデアと偶然に一致したため、予想よりははるかに早く完成にこぎつけた。しかしこの試作品第一号機は平成元年12月中旬に当研究室に納入されたため、目的(2)、(3)は研究途中である。しかしこれまでと異なりマシンタイムをふるにとれるため結果を得るのにそれ程の時間を要しないと思われる。
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