研究課題/領域番号 |
63880034
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研究種目 |
試験研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
柳田 敏雄 大阪大学, 基礎工学部, 教授 (30089883)
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研究分担者 |
増子 正行 浜松ホトニクス, 研究員
宝谷 紘一 京都大学, 理学部, 助教授 (80025444)
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キーワード | 蛍光顕微鏡 / ゆらぎ / nm分解能 / アクチン / ミオシン |
研究概要 |
in vitro滑走運動再構成モデルにおいて、張力測定も可能にするため、単一アクチンフィラメントをマイクロガラスニードルで顕微操作する技術を開発した。この方法は、高精度のマイクロマニピュレーターに連結したマイクロニードルをTVモニターを見ながら操作し、蛍光標識した単一アクチンフィラメントの一端をそれでとらえ、もう一端をミオシンでコートしたガラス表面につける。この時、アクチンフィラメントは表面に沿って運動し、ガラスニードルを引っ張る。ガラスニードルは非常に柔らかいものを使い、ニードルのたわみから発生張力を求めることができる。この装置により、頭部当たりにするとS-1でも筋肉中のミオシン分子とほとんど同じ力(約2pN)を発生することがわかった。 さらに、このマイクロニードルによる単一アクチンフィラメントの顕微操作技術とマイクロニードルの変位を1〓の分解能で検出する技術を組合せ、1〓の空間分解能、0.3msの時間分解能を有する、超高感度で張力ゆらぎを測定できる装置を開発した。in vitro運動アッセイでは、ミオシン頭部の数を10ケ程度にまで減らせるため非常に詳細なノイズ解析が可能である。もし、"首ふり仮説"が正しければ、例えば頭部数が30ケであるとすると、平均張力に対し、20〜30%もの張力ゆらぎが観察されなければならないことになる(筋原線維を使った場合は0.1〜0.01%)。測定の結果、ゆらぎは検出できない(1%以下)程小さく、極めて滑らかに力を発生することがわかった。このことは、1ATP分子分解中に何回も力発生サイクルを行う我々のモデルを強く支持している。
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