単一アクチンフィラメントのガラスニ-ドルによる操作は基本的に岸野&柳田の方法にしたがって行なった。倒立型蛍光顕微鏡蛍光下で、蛍光ラベルしたアクチンフィラメントの一端をガラス針で捕まえる。そしてもう一端を、ミオシンモノマ-でコ-トしたカバ-ガラス表面に接触させる。接触するアクチンフィラメントの長さを1μmよりずっと短くできるので、それに相互作用するミオシン頭部の数を数個にまで減らすことができる。アクチンフィラメントとミオシン頭部の相互作用で生じた張力はガラス張りの変位より測定する。ガラス針の慣性と粘性抵抗による時間分解能の劣化をできるだけ小さくするため、この実験では非常にミクロなガラス針を用いた。こうして、1ms以下の時間分解能を得ることができた。 ガラス針の変位の測定は、ガラス針の先端に直径約2μmのニッケル粒子を付け、その透過像をフォトダイオ-ドペア-の中心に投影し、これら二つのフォトダイオ-ドのフォトカレントの差分より求めた。この差出力はガラス針の像の重心の位置の変位に非常に敏感で、光学分解能よりずっと小さな変位にも応答する。今のシステムでは0.1nm以下の変位も検出できた。
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