粘土地盤の沈下量を推定するのに、テルツァギ・モデルによる圧密理論が一般的に用いられている。筆者は、小規模の実験で圧密現象が容易に説明できるように、粘土の骨組を単純な力学的性質を持ったモデルに置き換えた多層型(二層)の圧密模型実験装置を考案し、それを試作した。以下これらの一連の実験を行った結果について報告する。 1.粘土の骨組を単純な力学的性質を持ったモデルに置き換えて圧密現象を説明するために、スプリングは土粒子が形成する粘土の骨格を、シリンダ-内の水は粘土中の間隙水を表している。また、ピストンに取り付けた小孔の数(上部ピストン4個、下部ピストン4個)は、粘土の透水性に対応している。 2.本実験では、圧密経過時間〜沈下量の関係を知るために、荷重4Kg、3Kg、2Kg、1Kg載荷したとき、透水コネクタ-の直径(Φ1.0、Φ0.85、Φ0.75、Φ0.50、Φ0.30)をそれぞれ変化させたときについて間隙水の抵抗を調べた結果、Φ0.5の場合が理論値と良く一致することが分かった。 3.ピストンに取り付けた小孔の数は、粘土の透水性を示すもので、透水コネクタ-の数を少なくすると透水性の悪い粘土を示し、逆に多くすると透水性の良い粘土になる。従って、圧密速度を実験時間に応じてコントロ-ルすることができる。 4.装置はコンパクトにしかも使いやすくまとめてあり、手際良く、安全に取り扱うことができ、準備も含めて短時間に所定の実験ができる。 5.これらの実験結果から、筆者の考案した装置は圧密現象の持つ意味を十分に説明できると考える。
|