研究概要 |
安全で繰り返し発振が可能なSH波の地震探査用源装置開発を目的とし,独自に設計した高圧ガス発射方式によるSH波振源試験装置を昭和63年度に製作した.試験装置が納入されたのち,平成元年度,2年度に,同試験装置による実際の稼働テスト実験を繰り返した.その結果,地震探査用SH波振源装置としての性能が以下のように評価され,まとめられる: 1)試験装置は,安全に稼働し,繰り返し発振が可能な振源装置である. 2)試験装置は,騒音を伴わず,SH波を励起する振源装置である. 3)試験装置は,広い周波数帯域の地震波を励起する振源装置である. 4)試験装置は,立ち上がりの鋭い単純なSH波を励起する. 5)試験装置は,ガス圧による振幅調節が簡単で,波形の再現性がよい. 6)試験装置は,板たたき法に比べ,振幅が約2.x倍の地震波を励起する. 7)板たたき法に比べ約5倍のS波エネルギ-を励起することになる.繰り返し発振が簡単に可能であるから,試験装置の持つパワ-は非常に大きい. 平成元年度の実験時に発生した試験装置の座屈現象は,平成2年度に行った装置の設計改善また,テスト実験から,座屈現象が発生しなくなったことが確かめられた.これにより試験装置のテスト段階は終わり,同振源装置の実用化に向けた検討の段階に入ったと考えられる. これからの課題として: 8)試験装置は,現在200kg以上の重量があり可搬性に乏しい.これは,開発経費を別にすれば,構造材料を軽量化することで実現の可能性がある. 9)試験装置は,構造上座屈をおこした経緯があり,長時間の連続発振や経年変化により,装置の歪みで同様の障害を発生する可能性がある. などが上げられる. 本年度は研究計画の最終年度に当たり,これら研究を試験装置の設計,製作,テスト実験試験装置の性能についてとりまとめ,研究報告書を出版する.
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