豚ふん尿とCN比の類似した焼酎蒸留廃液をメタン発酵原料とした。この最大の理由は実験期間中の組成変化の少ないこと、pHが4前後であるため、酸発酵過程を省略できることにある。この焼酎廃液の1mm以上の固形物を除去し、さらに分画分子量100万の平板型UF膜にて微細固形物を除去した2種類の原料液につき実験を行なった。供試メタン発酵装置は23l容流動床式2相式メタン発酵装置に前述の平板型UF膜を流出側に取り付けてメタン菌の常時返送を可能にした。また、発酵槽内の菌濃度を高濃度にするため、コーラル石の破砕物を担体(比重2.5)として用いた。8℃に保持した原料をタイマにて制御したペリスタポンプにて連続供給した。設定有機物負荷を1.0〜7.0kg/m^3/dとして運転した。有機物負荷の上昇につれ、NH_4濃度が上昇して4000mg/l以上で発酵阻害が生じた。この時の菌濃度(VSS)は14g/l、有機物分解率90〜95%に達していた。NH_4によるメタン菌の発酵阻害を回避するために、原料中の全窒素濃度に着目して、達成した有機物分解率95%を考慮して、1.6倍の水による原料希釈を必要とした。これにより3000mg/lのNH_4濃度を最大とすることが予想され、これに原料のpH調整を行なって、運転を再開した。この時の原料の有機物濃度の上限は約4.4%となった。有機物負荷は5.2kgーvs/m^3/dとなり、HRTは9.2日となった。1mm以上の固形物を除去した原料を供して、長期運転を行なった結果、3800mg/lの高濃度アンモニア下でも発酵阻害の生じない、安定した運転が可能となった。この時のCH_4濃度は62〜66%、ガス収率0.53Nm^3/kgーvsであった。
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