研究概要 |
昨年度中までに東京都練馬区と台東区内の2つの区立中学校,世田谷区の区民センタ-,東京理科大野田キャンパス,東京工業大学長津田キャンパス,および新宿区と国立市の2つの私立中高校の7地点に9台のSMACーB2型強震計を設置した.今年度は新たに日本工業大学(埼玉県)および調布市の私立中高校に強震計を設置し,現在強震計の設置点,設置台数は9地点,11台であり,板橋区の私立高校にも近く設置が予定されている.1991年6月1日の千葉県東方沖地震(M=6.0)では上記の観測点のうち,7台の強震計が作動した.最大加速度は建物1階あるいは地下1階で3cm/s^2〜20cm/s^2程度,最大加速度応答値(5%)は8〜80cm/s^2程度であった.数値化・解析作業は完全にル-チン化された.作業時間は,数値化に1時間程度,補正解析に10分程度,応答スペクトル解析に20分程度,解析結果の図形出力に10分程度を要し,1記録あたり,2時間弱で解析が終了する.解析結果は強震観測網を構成している各機関にフィ-ドバックされる.例えば1990年2月20日の伊豆大島近海地震(M=6.5)で観測された記録は上記の解析を行ったのち,簡単な解説を添付して機関紙として配布した. 今年度は上記の強震観測の他に,(1)中規模地震における校舎の被害や,負傷者の有無の状況の調査,(2)地震時における児童・生徒の避難誘導の指針作成,(3)中学校を対象とした常時微動観測による地盤震動特性と被害の相関についての検討,(4)私立学校教諭を対象とした意識調査,等を行った.強震観測網の拡大充実とともに,(1),(3),(4)の調査で得られた知見や,(2)の市民や学校へのフィ-ドバックなどを定期的に行えば市民や児童・生徒の地震防災意識の向上ならびに地震被害の軽減に大いに寄与するものと思われる。
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