研究概要 |
1991年2月末現在,東京都練馬区と台東区内の2つの区立中学校,世田谷区の区民センタ-,東京理科大野田キャンパス,東京工業大学長津田キャンパス,新宿区と国立市の2つの私立中高校,日本工業大学(埼玉県)および調布市の私立中高校の9地点に11台のSMACーB2型強震計を設置しており,板橋区の私立高校にも近く設置が予定されている.これまでに1987年12月17日千葉県東方沖地震(M=6.7),1990年2月20日伊豆大島近海地震(M=6.5)をはじめ,いくつかの強震記録が得られている. 観測された強震記録を効率よく数値化,解析するために,パ-ソナルコンピュ-タ-とイメ-ジスキャナを用いた半自動数値化・解析システムを新たに開発した.このシステムはアナグロ記録を数値化するル-チン,数値化されたデ-タを基線補正や円弧補正等の補正解析をするル-チン,RT変換や応答スペクトルの計算等の波形解析を行うル-チン,および解析結果を図形出力するル-チンからなっている.1つの強震記録の数値化・解析に要する時間は平均的に1〜2時間程度であり,従来の数値化システムに比べて大幅な省力化が実現できた. 上記のシステムによって数値化・解析された結果は,強震観測網を構成している各機関に簡単な解説を添付して機関紙として配布している.強震観測の他に,(1)中規模地震における校舎の被害や,負傷者の有無の状況の調査,(2)地震時における児童・生徒の避難誘導の指針作成,(3)中学校を対象とした常時微動観測による地盤振動特性と被害の相関についての検討,(4)都内の学校教論を対象とした講演会,等を行った.強震観測網の拡大充実とともに,(1),(3)の調査で得られた知見や,(2)を市民や学校にフィ-ドバックし,(4)を定期的に行えば,市民や児童・生徒の地震防災意識の向上ならびに地震被害の軽減に大いに寄与するものと思われる.
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