研究課題/領域番号 |
63890011
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆造 京都大学, 農学部, 教授 (60077378)
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研究分担者 |
上田 正次 雪印乳業株式会社, 生物科学研究所, 課長
白井 義人 京都大学, 工学部・, 助手 (50175395)
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キーワード | 動物培養細胞 / 細胞の固定化 / アルギン酸ゲル / マイクロキャリア- / 組換え型エリスロポエチン / 造血因子 / 付着性動物細胞 / 糖蛋白質 |
研究概要 |
現在、ハイブリド-マによるモノクロ-ナル抗体の生産は別として、有用な糖蛋白質のほとんどが付着性細胞株を利用して生産されている。したがって付着性細胞株の高密度培養法の開発は大変重要である。付着面積を広げるためにマイクロキャリア-などが開発されているが、より高密度培養法の開発が望まれている。本研究においては、アルギン酸ゲル内への付着性細胞の固定化による高密度培養法を開発することを目的とする。 エリスロポエチン(Ep)を生産する三種類の付着性動物細胞をアルギン酸ゲル内に固定化し、細胞の増殖およびEp生産能を検討した。アルギン酸ゲル内に細胞を起点とした空隙が形成された時にのみ、細胞は空隙内に増殖した。またゲル化に必要な二価カチオンはカルシウムよりストロンチュウムの方が良好な結果を示した。BHK細胞では10^7細胞1g-gelにまで細胞は増殖し、40日以上にわたって細胞は増殖し、Epを生産し続けた。 さらにあらかじめマイクロキャリア-上に付着させた細胞をアルギン酸ゲルで固定化した。その結果、細胞はマイクロキャリア-を起点として形成された空隙内によく増殖しEpを長期にわたって生産することが出来た。この方法はマイクロキャリア-上に生育した細胞を物理的力より保護することが可能であるのみならず、マイクロキャリア-を起点として形成される空隙が増殖の場として利用しうることに利点がある。 アルギン酸ゲルに固定化した細胞を無血清培地に移したところ、Epの生産が急激に低下し、血清培地に帰すと再びEpを生産する。これは固定化細胞に特有の現象であり、血清中のなんらかの成分が関係している。この成分を同定するための実験を検討した。
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