公募研究
高精度の編年と環境史復元という目標に対して、メソアメリカ南東部地域において先古典期後期~古典期前期の土器編年と巨大火山噴火による海岸低地の植生変化と高地の都市文化の変化を明らかにした。考古学的研究においては、先古典期後期~古典期前期の土器編年を明らかにした。チャルチュアパ遺跡エル・トラピチェ地区は先古典期中期~終末期に相当し、同地区での発掘調査により検出される当該時期に特徴とされる土器群に基づいて、メソアメリカ南東部太平洋側における広域編年に有効な土器の特徴を抽出した。その際、イロパンゴ火山噴火による降下火山灰層を鍵層としてその上層および下層から出土する土器群の特徴から先古典期後期から古典期前期までの土器相対編年を構築した。その結果、巨大噴火によるイロパンゴ火山灰降下層によって土器の特徴は変化しないことが解明できた。イロパンゴ火山の巨大噴火の影響については、前年度と同様に、大規模火砕流が到達して壊滅的な被害を被ったと考えられる半径40㎞の地域よりも外側の地域、降下火山灰(TBJテフラの)が厚さ30㎝程度以下の高地の都市遺跡と海岸低地の生活遺跡について調査した。高地の都市遺跡であるチャルチュアパ遺跡エル・トラピチェ地区では、エル・トラピチェは全く放棄されたわけではなく、建造物の補修程度の人間活動が続いていたと考えられる。なお、およそ3m前後の深さからTBJと同様の白色細粒火山灰層(TB4テフラ:およそ3万6千年前)が確認され、一指標として利用できることが確認できた。海岸低地・レンパ川下流域ヒキリスコ湾周辺で採取した有機質細粒堆積物の放射性炭素年代測定を進め、軽石や火山灰の流入による湾内のマングローブ林の衰退が、噴火直後(4~6世紀)から始まって、8~10世紀ころまで続いていたことを明らかにした。噴火の間接的影響により環境変化が生じ、噴火後高地とは異なる歴史を辿った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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