有機-シリカナノ複合体創製)前年度確立したエポキシ基を有するブロック共重合体を鋳型として用い、有機-シリカナノ複合体のナノ構造制御に成功した。この際、ナノ構造制御はシリカ前駆体であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)の特定高分子領域への偏在化により発現する。ナノ構造形成のFT-IR解析、二次元NMR (NOESY法)による精密解析より、ナノ構造形成の駆動力は高分子中のエポキシ基とPHPSのアミノ基によるものであることを解明し、さらに、シリカの非偏在化領域を形成するポリマーとPHPSとの相互作用により、ナノ構造制御の限界を明らかとした。 モノマー重合へのPHPS添加によるナノ複合体創製においては、系内の種々の反応速度の実測と制御により、同一の仕込みにおいても、特性の異なるナノ構造体創製の戦略的デザイン法を明らかにした。特にポリベンズオキサジンとの複合化においては、低シリカ添加率での高水蒸気バリア性および着色性低減を可能とし、脂環式エポキシ樹脂との複合化では、チオール基導入により、塩基性のPHPS添加にもかかわらず、高透明性・高水蒸気バリア性の合成に成功し、シリカ添加量の増加に伴い、複合体中の自由体積が減少することを見出した。 微粒子創製)微粒子合成時の界面活性剤の種類により、カプセル型シリカ微粒子と中実シリカ微粒子(いずれも直径25~35 nm)の作り分けが可能である点に着目し、界面活性剤の形成に及ぼす機能を解明した。span80においては、粒子の鋳型表面での再配置が可能であり、このため、中実粒子の形成が優位であることが明らかとなった。カプセル型粒子においては、乾燥前には、カプセル内包物が徐々に放出されるが、絶乾後、粒子表面の表面張力により、粒子中に空気が保存され、内包物の放出が起こらないことを見出した。
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