研究実績の概要 |
オレイン酸被覆水熱成長法において、オレイン酸と金属イオン比を変えながら水熱合成を行うことで、界面活性剤が表面を覆う比率を変えることにより、様々な形状をもつ高分散性のCeO2ナノブロック、Fe3O4ナノブロック、α-Fe2O3ナノブロックを作製した。 CeO2ナノブロックについてはTEM観察から粒径はおよそ数十nm程度であり、表面の{111} 面, {110} 面, {100} 面の割合が合成時のオレイン酸イオンとCeイオン比で変化していた。十分な数のオレイン酸イオン存在下で結晶成長が行われると本来は不安定な{100} 面にオレイン酸イオンが吸着して成長を抑制する事で{100}面のみからなるキュービック粒子が得られるものの,それよりもオレイン酸イオンが少ない状況で結晶子を成長させると, {100} 面よりも最安定な{111} 面を多く持つブロックが得られた。 Feイオンを含む溶液から作製した試料においては、TEM像より一辺20~30 nmのキューブ状ブロックと大きさ7~8 nmの球状キューブが形成されていることが分かった。XRDの解析から、Magnetite(Fe3O4)およびHematite(α-Fe2O3)に相当するピークが検出された。詳細なFFTの結果より、キューブ状ブロックが弱磁性のα-Fe2O3で微小な球状ブロックがFe3O4であることが分かった。Fe2+イオンのみを用いて形成したオレイン酸錯体と溶液を分離した後にオレイン酸錯体のみにアンモニア水を滴下後、両者を再混合したものを水熱するプロセスで形成した試料では5~7 nmのキューブ状フェライトブロックが多く含まれていた。一方、Fe2+/Fe3+イオンを用いて上記のプロセスで、オレイン酸錯体にアンモニア水を滴下した物のみを水熱するプロセスではキューブ状α-Fe2O3ブロックが多く形成される傾向にあった。
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