オレイン酸イオンとセリウムイオンのイオン濃度比(Ole/Ce)を調整し、粒径がおよそ十数~数十nmのCeO2ナノブロックを作製した。ブロック表面には{111}面、 {110}面、 {100}面が露出しており、その割合がOle/Ceで変化した。不安定な{100}面にオレイン酸イオンが吸着して成長を抑制する事で{100}面の割合が増えた。セリアブロック同士が配向面を揃えて接合・成長するオリエンテッドアタッチメント(OA)成長も観察され、{111}面同士および{100}面同士がOAすること、{100}同士の接合はイオン濃度比が低い場合に生じることが明らかとなった。イオン濃度比[Ole/Ce]を変えることでセリアブロックの配向面制御のみならず、OA成長によるブロック形状制御もできる可能性が示された 蛍光特性を示すロッド状CePO4:Tb3+ナノブロックを作製した。シクロヘキサン中で高い分散性を示し、粒径は約3~5 nm、 長さは約20 nmのナノロッド形状をしていること、高分解能TEM像からは格子縞も観察された。同ナノロッドの分散液に254 nmのUVを照射すると発光中心であるTb3+由来の緑色発光が観察された。サンプルの量子収率は約25%と分散性、発光効率のいずれにも優れる蛍光ブロックが作製できた。 スピネル型フェライトブロックの作製も行った。プロセスの最適化を検討する中で、オレイン酸ゲル水熱成長法(OGHT)を開発した。Fe2+イオンのみを用いて形成したオレイン酸錯体の沈殿物を溶液と分離した後にオレイン酸錯体のみにアンモニア水を滴下後、両者を再度混合したものを水熱するプロセスにより、5~7 nmのキューブ状Fe3O4ブロックを優先成長させることに成功した。
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