代表的な可溶性ポリイミドであるポリエーテルイミド(PEI)に対してアリルアミンなどの求核性現像液を用いた反応現像画像形成(RDP)を適用し、露光部表面に選択的にアリル基などの官能基を導入することを検討した。トリアジン系感光剤を含んだPEI膜を超高圧水銀灯により露光したのちに、50wt%アリルアミン水溶液で現像し、アリル基の導入を行った。その結果、PEI中のイミド基とアリルアミンとの求核アシル置換反応が露光部表面でのみ選択的に進行することが明らかとなった。また、露光部表面で反応を選択的に進行させ、かつ露光部/未露光部間の膜厚差を小さくできる最適な露光量は1000 mJ/cm2であることが示された。続いて、PEI膜表面に導入したアリル基を親水性チオール(MESNA)とチオール・エン反応させることにより、露光部表面の二次的な機能化を検討した。その結果、チオール・エン反応を行った前後での膜表面における水接触角は87.3°から48.4°へと変化し、MESNAの導入による露光部表面の親水化が示された。また、チオール・エン反応前後の膜についてATR-IRスペクトルを測定した結果、反応後のスペクトルではMESNAに由来する吸収の強度の増大が確認された。 一方、ポリアリレートにシロキサン部位を導入したアリレート-シロキサン共重合体にRDPを適用した結果、溶媒を含まないドライフィルムでの微細パターン形成が可能になるとともに、高感度化と現像時間の短縮が達成された。一方、比較として用いたシロキサン部位を含まないポリアリレートでは、ドライフィルムを用いた微細パターン形成は困難であることが明らかとなった。
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