研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
15H00730
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
植村 一広 岐阜大学, 工学部, 准教授 (60386638)
|
研究期間 (年度) |
2015-06-29 – 2017-03-31
|
キーワード | 金属錯体 / 金属結合 / オリゴマー / 疎水相互作用 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、以下の2つについて、実験を進めた。 1. [Pt2(piam)2(NH2C3H7)4]2+もしくは[Pt2(piam)2(NH2C4H9)4]2+で、[Rh2(O2CCH3)4]と混合して、六核構造を有する[{Rh2(O2CCH3)4}{Pt2(piam)2(NH2C3H7)4}2](PF6)3(ClO4) (1)と[{Rh2(O2CCH3)4}{Pt2(piam)2 (NH2C4H9)4}2](ClO4)4 (2)を得た。1と2は、非配位性のCH2Cl2やCHCl3に可溶であり、その紫外可視吸収スペクトルが単結晶(固体)で測定したものとほぼ一致した。1では、421 nmと695 nmに、非架橋Pt-Rh結合由来のσ* ← σ*とσ* ← π*に帰属できる吸収がみられ、溶液中でも六核構造を安定に維持していることがわかった。また、1のCH2Cl2中でサイクリックボルタンメトリーの結果、[Pt2]-[Rh2]-[Pt2]の[Rh2]からの1電子酸化還元と考えられる準可逆な酸化還元波がみられた。 2. NH2C4H9とpiamが、2つずつ配位した白金単核錯体cis-[Pt(piam)2(NH2C4H9)2]と、CuCl2とNaPF6をMeOH/H2O混合溶媒中で混合し、白金-銅三核錯体の[Pt2Cu(piam)4(NH2C4H9)4](PF6)2 (= [Pt-Cu-Pt])を得た。続いて、[Pt2Cu(piam)4(NH2C4H9)4](PF6)2と[Rh2(O2CCH3)4]をMe2CO中で1:2で混合し、ゆっくり蒸発させると黄色単結晶が析出した。単結晶X線構造解析の結果、これは-[Rh2]-[Pt-Cu-Pt]-と並んだ一次元鎖錯体であった。また、[Pt2Cu(piam)4(NH2C4H9)4](PF6)2と[Rh2(O2CCH3)4]をCH2Cl2中で混合し、その混合溶液の紫外可視吸収スペクトルを測定したところ、非架橋Pt-Rh結合由来の吸収を確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルキル鎖長を伸ばすことで、非配位性のCH2Cl2やCHCl3に可溶の一次元状六核金属オリゴマーの単離に成功している。また、目的である[Pt-Cu-Pt]-[Rh2]-[Pt-Cu-Pt]と並んだ、一次元状金属オリゴマーと類似した一次元鎖錯体を単離できており、非架橋Pt-Rh結合が有用であることがわかった。今後、白金-銅三核錯体を非対称にする、もしくは複核錯体にすることで目的が達成できると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
[Pt-Cu-Pt]の片方の白金にアンモニア(NH3)を、もう片方の白金に長鎖アルキル基を有した、非対称[Pt-Cu-Pt]を合成する。非対称[Pt-Cu-Pt]は、アミン系補助配位子(NH2R)とアミダート配位子(-NHCOR')が、2つずつ配位した白金単核錯体を、2種類準備し、塩化銅(CuCl2)と混合して合成する。これと[Rh2(O2CCH3)4]を混合し、一次元状ヘテロ金属オリゴマーを得る。また、異なる金属Mに長鎖アルキル基を有する白金-M複核錯体([M-Pt])を合成し、一次元状ヘテロ金属オリゴマーの[M-Pt]-[Rh-Rh]-[Pt-M]の合成する。
|