公募研究
本研究課題では、ケイ素やゲルマニウムなどの高周期14族元素や、リンなどの高周期15族元素のπ結合をdーπ電子系に組み込んだ新規なdーπ電子系の創製を目指す。特にフェロセンの上下をGe=Geで架橋した[2]フェロセノファン型化合物の開環重合を目指している。本年度は、フェロセン架橋体の合成を検討したものの、最適な反応条件を見出せなかったため、かさ高いフェロセニル基を活用することで、Fc*2Ge=GeFc2*という、ゲルマニウム間二重結合の両側にそれぞれ二つずつのフェロセニル基を持つdーπ電子系の創製を目指し研究を行った。目的物の生成をねらい、かさ高いフェロセニルリチウム(Fc*Li)に対してジヨードゲルマニウムを作用させたところ、期待したゲルマニウム二重結合ではなく、二重結合が開裂した二価ゲルマニウム化学種であるビス(フェロセニル)ゲルミレンを安定な化合物として合成・単離することに成功した。得られた化合物は、結晶中でも溶液中でも二価二配位状態を保っており、電気化学測定により、安定な多段階酸化還元系として機能することを明らかとした。これは、d-p電子系として、速やかな電子移動を達成するユニークな分子であることが分かった。さらに、このゲルミレンは、二電子酸化を受けると、新規な三重項状態をもつゲルミレンが生じることが理論計算より明らかとなり、フェロセニル基を二つ持つ二価二配位14族元素化学種が、これまでに無い斬新な分子設計であることを明らかとした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Molucules
巻: 21 ページ: 1309
10.3390/molecules21101309
Chem. Eur. J.
巻: 22 ページ: 13784-13788
10.1002/chem.201602601
Eur. J. Inorg. Chem.
巻: 2016 ページ: 678-684
10.1002/ejic.201500989
Bull. Chem. Soc. Jpn.
巻: 89 ページ: 1375-1384
10.1246/bcsj.20160269