研究実績の概要 |
亜鉛ポルフィリンとこの配位子を交互配列したポルフィリンアレーは、自己相補的な配位結合形成によって逆並行型の二重鎖を形成する。このポルフィリンアレー二重鎖は剛直な直線状構造である。この二重鎖形成を駆動力として、超分子ポリマーの構築を行った。この結果、二重鎖の剛直な直線状の構造と非常に高い安定性を反映して, 数マイクロメートルオーダーでの直線状構造を構築することができた。このように、二重鎖形成型ポルフィリンアレーが分子サイズをはるかに超えるサイズ領域において、形状制御を行うための有効な構成ユニット「元素ブロック」であることが明らかとなった。この結果は従前の合成分子が制御できなかったサイズ領域において、分子の形状・機能を制御できるサイズ領域が広がったことを意味している。 またこれと同時に, 粘稠液体となるポルフィリンユニットを「元素ブロック」として連結していくと, 分子量増加にともなってガラス転移点が上昇することがわかった。金属ポルフィリンは巨大なπ平面を有する骨格であり, 固体でアモルファス状態を形成する極めて特異な特徴を示す分子骨格であることを見出した。しかも、このガラス状態の薄膜は、近赤外波長領域で効率的に発光することがわかった。 さらにジチエノメタロールをパイ共役スペーサーとして亜鉛ポルフィリンを連結すると、キノイドークムレン型の共役で広いパイ電子系を形成できることがわかった。とりわけ、励起状態においてキノイドークムレン型共役の寄与が非常に大きいことが明らかとなった。
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