公募研究
元素ブロックとしてホスファゼンをエステル部に置換基として有するジアゾ酢酸エステルのPd錯体開始剤系による重合がリビング的に進行し、構造の明確なホスファゼンが主鎖の周囲に集積したポリマーの合成に成功した。そして、そのホスファゼンの集積効果がポリマーの熱安定性を向上させることも確認している。さらに、ホスファゼンのP上に親水性基としてオキシエチレン鎖を導入することにより、同様にして得られたポリマーに高い親水性を付与できることも明らかにした。各種のホスファゼン含有ジアゾ酢酸エステルの制御重合による、機能性高分子材料の開発を検討している。元素ブロックとしてPOSSをエステル部に有するジアゾ酢酸エステルの重合では、ポリマー収率が30%以上に上がらないという問題があるが、やはり分子量の揃ったポリマーを得ることに成功した。同じく、元素ブロックとしてBODIPYを有するジアゾ酢酸エステルの重合でも、分子量の揃ったポリマーが得られた。そして、BODIPY骨格に結合した置換基の違いにより、吸収、発光波長が大きく異なる一連のBODIPY含有ジアゾ酢酸エステルの合成法を確立することにも成功した。これら各種のBODIPY含有モノマーを、制御重合を利用してブロック共重合することによる、ポリマー主鎖に沿って集積したBODIPY間の高効率なエネルギー移動が可能な光機能性高分子材料の開発に取り組んでいる。ピレンをエステル部に有するジアゾ酢酸エステルの重合により得られたポリマーの、超高速近赤外吸収測定により、ポリマー主鎖の周囲に集積したピレン間でのエキシマー形成効率の向上を確認することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
ホスファゼン、POSS、BODIPYという代表的な元素ブロックを有するジアゾ酢酸エステルの合成とその制御重合に成功し、それらのポリマーの機能性材料への応用に関する検討も開始しており、計画通りに研究は進行している。
元素ブロック集積型ポリマーの合成をさらに進め、元素ブロック集積効果を利用した機能性材料の開発へと展開する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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