研究実績の概要 |
本研究は、発光性有機分子と発光性希土類錯体 LnLを元素ブロックとして鎖状に連結させ、基 板上に固着した発光性薄膜の創成を目的とする。申請者は希土類錯体の発光機構に着眼しこれ までに種々の発光性希土類錯体を合成してきた。Eu および Tb はそれぞれ赤色(R)および緑 色(G)に発光することが知られており、それぞれヘリカルな有機分子(New J. Chem., 2014) と錯形成させ、種々の混合比でリンカー分子と連結させると鎖状構造を形成するとともに金属金属間エネルギー移動が生じることを発見している(Polym. J., 2014, advance online publication on November 5th 2014in print)。 ここでは、先に報告しているヘリカルな希土類錯体を用いたところ、希土類に対して光アンテナとリンカーの役割を担うとともに、自身も青色に(B)発光するアントラセンを組み込んだ。目的とする構造体を得ることはできたが、発光は消光した。これは、ビピリジン骨格の電子帯がアントラセンの電子帯と重なったため、相殺し消光したことがわかった。目的としている発光色変調のために、別の骨格を有する希土類元素ブロックを合成し、アントラセンで連結させたところ、改善が見られた。 これらの研究成果から得られた知見から、いくつかの萌芽的研究が深く進捗しその成果の一部は学術論文として公表することができた。
|