研究領域 | 元素ブロック高分子材料の創出 |
研究課題/領域番号 |
15H00770
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
黒岩 敬太 崇城大学, 工学部, 准教授 (70336006)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自己組織化 / 超分子錯体 / オリゴマー / ポリペプチド / スピンクロスオーバー / 逆スピン転移 / 磁性錯体 / 両親媒性 |
研究実績の概要 |
・リビング重合によるブロック型オリゴマーの合成 昨年度までに、Co(PMe)4を開始剤として、リビング重合によるブロック型オリゴペプチド(重合度100以下、PDI<1.1)の合成手法を利用して、ナノ構造を形成するオリゴペプチドの最適重合度並びに最適親・疎水性の制御手法を確立している。今年度は、リビングラジカル重合を駆使して、親水性部位としてアニオン性モノマーを導入した。また、特徴的な構造を形成することが予想される疎水性モノマーを組み込み、オリゴマー同士のステレオコンプレックスや、下限臨界共溶温度(LCST)、上限臨界共溶温度(UCST)が制御できるナノ構造の制御を検討する。合成は、グローブボックス内にて嫌気下にて行い、NMR、FT-IR、GPCによって評価し、その2次構造、3次構造をCD、DSC、TEMなどにて評価した。 ・自己集合特性の制御とスピン平衡型の金属錯体の界面集積化 スピン平衡特性を有するCo(II)錯体、Fe(II)錯体を合成し、オリゴマーとの複合体を作製した。ポリマーの重合度やブロックの比率(m : n)を変化させることによって、スフェア、ベシクル、チューブ、ファイバーを系統的に作り分けることが可能となった。さらに、ファイバー形成条件(m>>n)下では、ハイドロゲルの形成が期待できる。このように、シークエンスの1次構造、2次構造、3次構造を自在に制御し、水溶液中での自己集合能を系統的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績で述べたように、Co(PMe)4を開始剤として、リビング重合によるブロック型オリゴペプチド(重合度100以下、PDI<1.1)の合成手法を利用して、ナノ構造を形成するオリゴペプチドの最適重合度並びに最適親・疎水性の制御手法を確立しており、さらに、リビングラジカル重合を駆使して、親水性部位としてアニオン性モノマーを導入することができている。 また、スピン平衡特性を有するCo(II)錯体、Fe(II)錯体を合成し、オリゴマーとの複合体を作製できている。ポリマーの重合度やブロックの比率(m : n)を変化させることによって、スフェア、ベシクル、チューブ、ファイバーを系統的に作り分けることが可能となった。さらに、ファイバー形成条件(m>>n)下では、ハイドロゲルの形成が期待できる。このように、シークエンスの1次構造、2次構造、3次構造を自在に制御し、水溶液中での自己集合能を系統的に評価できており、論文発表や学会発表ができている。よって、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでの元素ブロック超分子錯体を用いて、以下の点を重点的に進めていく。 ・自己集合体の磁性揺らぎの評価:スピン平衡性のCo(II)金属錯体を用いたオリゴマー集合体を形成する。この集合体は、オリゴマーのアロステリックな集合構造転移に基づき、単核錯体にはないスピンクロスオーバー特性が発現できるかどうかをSQUIDやメスバウアー測定によって評価する。さらに、複合体の局所構造をレーザー光などで励起することによって、ナノ構造が伝播する様子を走査型プローブ顕微鏡にて評価する。このことから、金属錯体の室温付近における分子間コミュニケーションを物性と構造の両面から相互的に評価する。 ・高圧シェアストレスをもたらす衝撃波を用いた新しい分子集合体配列技術の創出:上記までに得られた自己集合性高分子化金属錯体を、衝撃波を用いて基板上に配列固定化する手法を開拓する。10GPa程度のシェアストレスがかかる爆発衝撃波の状態、方向、パターンを制御することによって、自己組織体の配列方向を力学的に制御し、新しい配列構造を形成する。このことによって、多彩な衝撃波からもたらされる新しい分子整列状態を形成し、金属錯体間の分子間コミュニケーションを制御する。以上のことから新しい有機無機融合材料というべき物質群を形成し、磁性材料のみばかりでなく、誘電材料、導電材料、触媒材料としての新しいパラダイム創成を目指す。
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