本研究は可視同時撮像装置DMCのCCDをすべて高感度なものに入れ替え、重力波源の可視光同定を効率的に行う体制を整えることが主要目的である。搭載する望遠鏡としては国内最大口径を有する西はりま天文台の2mなゆた望遠鏡である。 平成28度は不足していた完全空乏層型CCD2個を購入、全体として必要なCCDを15個すべてそろえた。また一部を本研究で、残りを別予算によって、真空冷却するデュワーを製作した。デュワー設計の過程で当初設計だと予想外に予算がかかることが判明、再設計をおこなうこと等によって対応し、当初より大幅に遅れたが、12月にデュワーが納入された。研究協力者の満田和真(東京大学大学院理学系研究科天文学専攻D2)を中心に組み立て調整などの作業をおこなっている。CCDの実装は慎重に進める必要があり、平成29年度におこなうこととなった。 また並行して、なゆた2m望遠鏡にとりつけるためのインターフェースフランジを設計、別予算で製作を行い、平成29年3月に納入された。計算機の整備なども進めており、主要部品がそろったので、平成29年度には、実際に天体観測ができるところまで進めることが確実となった。 DMCは、木曽観測所のシュミット望遠鏡の広視野カメラによって候補が発見された後に用いられることになるが、候補探査のための広視野カメラTomo-eのプロトタイプの開発は別に進めている。また、現有の広視野カメラKWFCによって重力波信号の方向を探査した結果の論文発表も行った。全体として、重力波源の可視光同定にむけての観測体制整備が進んだ。
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