公募研究
z>6の初期宇宙で実際に観測されている10億太陽質量を上回るような超巨大ブラックホールについて、その種となり得る超大質量星の形成過程について研究した。前年度に引き続く内容としては、宇宙論的な初期条件から得られた星形成ガス雲の重力収縮に引き続く長期進化の計算を行った。すなわち、ガス雲の重力収縮の結果、中心部の密度は上昇するが最終的に力学平衡になる原始星が誕生して収縮は終了する。この際、もともとガス雲にあった質量の大半は原始星周囲に取り残されており、順次星へ降着して星質量が増加するのである。この質量降着期の進化が最終的に形成される星質量を決定するため、この時期の進化が本質的に重要である。我々の宇宙論的シミュレーションでは周囲の環境効果が矛盾なく取り入れられており、この効果が質量降着期の進化にどのような効果を及ぼすかについても初めて調べることが可能である。計算の結果、付近の大質量銀河がガス雲に及ぼす潮汐力が質量降着期の進化にも大きく影響することがわかった。すなわち、潮汐力が強い場合はガス雲がフィラメント状に大きく引き伸ばされているので降着期にかけてさかんに自己重力による分裂が起こり、10万年の間におよそ数千太陽質量の星が数十個生まれる。一方で潮汐力が弱い場合、ガス雲は球状に近い構造を維持し、その結果、分裂は比較的抑制されたまま降着期の進化が進み、同時間の間におよそ数万太陽質量の星が数個生き残った。星同士の合体が何度も起こるものの、生き残る星のうちいくつかは連星系をなしており、これらは星の死後ブラックホール同士の連星に進化する可能性がある。特に、連星間距離が十分近ければ重力波放出を経て合体する可能性がある。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 465 ページ: 5016-5025
10.1093/mnras/stw3114
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
The Astrophysical Journal
巻: 824 ページ: 119, 26pp.
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巻: 834 ページ: L34,5pp.
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巻: 832 ページ: 134,22pp.
10.3847/0004-637X/832/2/134