当初の研究計画に沿って北大・角五彰准教授との共同研究が進展し、研究成果が得られている。 1.微小物体の運動性を高めるための表面構造について:水中のバクテリアなどの微生物の運動では駆動力の大きさを考えることも重量であるが、運動の際に流体から受ける抵抗にも注目しなければならない。この問題を理解するために、異なる表面構造(ラテックスビーズ、高分子ブラシで表面修飾したシリカビーズ、ゲルビーズ、窪みのあるシリカビーズなど)を有したシリカビーズを作成し、光ピンセットにより低レイノルズ数の領域での流体から受ける力の大きさを測定した。その結果、Stokesの抵抗則で流体力学的半径を評価したときに高分子ブラシで表面修飾したシリカ粒子が実効的なサイズ一番大きく、その反対に表面に窪みがある微粒子とゲルビーズは小さかった。この結果から、力を発生させる際は流体力学的半径を大きくすること(大きく流体をかく)で大きな駆動力が得ることができること、表面にわざと凹凸をつくることで駆動力を発生させた後に抵抗を小さくすることができることが分かった。実際の微生物の運動と比較することが今後必要となる。 2.微小管(細胞骨格)の力学的特性:これまでの共同研究から、微小管の破壊現象から力学的性質の1つであるYoung率を定量的に評価する理論を確立した。今年度の共同研究ではこの理論を基本にして微小管の屈曲による破壊現象を理解することに成功した。
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