研究領域 | 感覚と知能を備えた分子ロボットの創成 |
研究課題/領域番号 |
15H00802
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
豊田 太郎 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (80422377)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 振動反応 / ジャイアントベシクル / カタラーゼ |
研究実績の概要 |
本研究は、生体内と近い環境で進行する酸化還元反応である酵素-基質反応のリズム現象に着目し、このリズム反応を、生体組織に見立てた分画された脂質カプセル(ジャイアントベシクル)の塊の中に実装することで、各ジャイアントベシクル中で進行するリズム現象が隔壁を通じて結合し、ジャイアントベシクル集団塊全体としてどのようにふるまうかを5次元(3D+時間+振動分子濃度)で計測してその機構を解明する。 本研究課題は、ジャイアントベシクルを駆動体とした「アメーバ型分子ロボット」とゲルを駆動体とした「スライム型分子ロボット」の中間となる新しい分子ロボットを提供する。これには、分画化したジャイアントベシクルが刺激に応答する機能性を有することが不可欠であり、その機能がリズム反応という時空間的な情報処理に応答できれば、ジャイアントベシクル集団塊という高次の階層の分子ロボットの創成につながる。 今年度は、すでに秀島らによってリズム現象が報告されているカタラーゼ―過酸化水素の酸化還元反応系の反応液を、脂質を溶解した油中に分散させエマルションを得てから、温度制御型遠心機により、エマルションをバッファー層に移行させることで、ジャイアントベシクル分散液を作製した。ジャイアントベシクル分散液の温度を37度に昇温させることで、カタラーゼ-過酸化水素の反応を誘導し、電気化学分析(溶存酸素計測)を行った。すると、水溶液中の酸素濃度がパルス状に変化することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既報ではセルロース膜など強固な膜を介してカタラーゼ―過酸化水素の反応が振動することが見出されていた。本研究で用いたジャイアントベシクルという脆弱な膜でも本反応が同様に振動することが見いだせたのは、作業仮説を実証できた点で大きな成果である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、カタラーゼ―過酸化水素の反応液をジャイアントベシクル集団塊に実装する。また、酸素濃度モニタリングには、ジャイアントベシクル集団塊にトリスフェナントロリン―ルテニウム錯体という蛍光インジケーターを利用し、蛍光顕微鏡下で集団塊を観測する。
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