本研究は、生物の最小単位である細胞内部やアメーバ型分子ロボットの骨格となるリポソームの微小空間内でナノコイル状の磁場駆動型ナノマシンを自在に操作することで,細胞内部やアメーバ型分子ロボット内部を探査したり,構造と機能を制御できる3次元ナノ空間分子操作を実現することを目的とする.今年度は,細胞内でらせん型のナノマシンを磁場駆動し,観察,操作,及び回収することに成功した.また,DNA origami,ナノ造形技術を駆使することで,3次元のナノコイル構造体の設計試作を行った.細胞内へのナノマシン導入実験にはマウス筋芽細胞C2C12 を使用した.ナノマシンは導入後に蛍光観察ができるよう修飾して観察した.C2C12 が増加したのち,リポフェクション法により蛍光修飾したナノマシンを導入した.導入後,CellTracker Redを用いて細胞質を染色し,蛍光観察を行った.また,微小空間内に細胞が通過することのできないサイズの流路を設けることで,単一細胞をトラップすることができるマイクロ流体デバイスを作製した.まず蛍光染色した細胞懸濁液を作製したデバイス内に導入し,単一細胞をトラップした.その後,ナノマシンをデバイス内に導入し,回転磁場を印加することでナノマシンを駆動させ,トラップした細胞に接着させた.ナノマシンを接着させた細胞は培養した後,蛍光観察を行った.デバイス内での細胞のトラップ,およびトラップした細胞へのナノマシンの導入に成功した.また導入後,回転磁場を印加することで,トラップした細胞内でのナノマシンの駆動に成功した.以上の結果より,特定の単一細胞の細胞内刺激の可能性を示した.
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