量子計算機で効率的に解ける問題のクラスであるBQPは、AWPPというクラスで抑えられていることが知られている。しかしながら、AWPPはもともと古典計算量の分野で研究されたクラスであり、定義も、GapP関数を用いて人工的になされているため、量子計算の研究者にとってはいまいち意味がつかみにくい。そこで、我々は、AWPPが制限されたポストセレクション量子計算クラスと等価であることを示した。また、そのクラスはWPPといったようなクラスも含んでおり、WPPは例えばGraph non-isomorphismを含んでいるため、BQPには含まれないだろうと考えられる。その意味では、その制限されたポストセレクションクラスは真にBQPより上にあるクラスであるといえ、近年注目を浴びている、BQPのちょっと上のクラスに対して、良い例となっているといえる。また、NPの量子版であるQMAにおいて、検証者の能力が通常はBQPであるが、それをほぼBPPまで下げる方向の研究も行った。具体的には、検証者の能力として、Clifford gate operationもしくは1キュービット測定のみで良いということを示した。さらに、One clean qubitモデルにおけるエラー削減についても検討し、十分なPureなアンシラが無いにもかかわらず、Error redctionが可能であることなどを示した。これは、DQC1モデルの古典シミレート不可能性にもつながる。
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