研究領域 | 多面的アプローチの統合による計算限界の解明 |
研究課題/領域番号 |
15H00853
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
宇野 裕之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60244670)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アルゴリズム / パラメータ化計算 / 計算複雑さ / 情報基礎 |
研究実績の概要 |
本研究は,アルゴリズム設計・解析や計算複雑さの分野で近年急速な進展を見せるパラメータ化計算の枠組みのもとで,計算複雑さの上下界を明らかにする固定パラメータアルゴリズムやパラメータ化計算複雑さ理論を対象としている.この際,歴史的にも未解決問題へのアプローチが分野発展の原動力となっている事実に鑑み,パラメータ化計算分野において提示される未解決問題に着目し,幅広い調査や整理とともに過去の研究で自身が得た未解決問題との間に有機的な関連を見出し,そのような問題を解決することで計算複雑さを分離する状況証拠を積み重ねて困難さの原因に対する知見を獲得する.これらと並行し,さまざまな離散最適化問題に対する具体的な固定パラメータアルゴリズムや高速厳密アルトリズムを設計することも同時に行う.これらを通じて,P=NP?問題の解決への側面からの貢献を目指す. このような目標のもと初年度は,平面的有向グラフにおける最長路問題に対する劣指数時間アルゴリズム,編グラフ枝削除問題に対する高速固定パラメータアルゴリズム,PSPACE完全であることが知られている2人ゲームKaylesなどに対する未解決問題を幅広く調査した.一方,部分問題としてグラフ描画を含む紙折り問題や,幾何的な問題に対して具体的に効率的なアルゴリズムを設計することに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,アルゴリズム設計・解析や計算複雑さの分野で近年急速な進展を見せるパラメータ化計算の枠組みのもとで,計算複雑さの上下界を明らかにする固定パラメータアルゴリズムやパラメータ化計算複雑さ理論を対象とし,当該分野で提示される未解決問題に着目し,幅広い調査や整理とともに過去の研究で自身が得た未解決問題との間に有機的な関連を見出し,そのような問題を解決することで計算複雑さを分離する状況証拠を積み重ねて困難さの原因に対する知見を獲得することや,さまざまな具体的な離散最適化問題に対する固定パラメータアルゴリズムや高速厳密アルトリズムを設計することを目標としているが,初年度はさまざま未解決問題に対する調査を行うことができたとともに,紙折り問題など具体的な問題に対して効率的なアルゴリズムを設計することに成功したため.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度である二年度目は,初年度に引き続き次々と生み出される未解決問題を精力的に調査し理解する.それとともに,これまでに調査した未解決問題の中からその重要さの観点から問題を厳選し,それらを具体的な対象として固定パラメータアルゴリズムや高速厳密アルトリズムを設計することを目標とする.これらの中には,グラフアルゴリズムの分野できわめて重要な問題であり,アルゴリズム設計・解析の画期的な新手法を次々と生み出す,この分野を牽引する原動力的な計算問題の一つとなっている,グラフにおける最長路やハミルトン性を扱う予定である.
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