公募研究
ロドプシン(レチナールタンパク質)は、動物から微生物まで幅広い生物が共通にもっている光受容体タンパク質であり、アポタンパク質を構成する7本の膜貫通αヘリックスの中央部に、アルデヒド型ビタミンAである発色団レチナールが結合した構造を持つ。ロドプシンは、クロロフィルの吸収がほとんどない領域の光(450-600 nm)を吸収することで機能する。具体的には、光吸収によりレチナールの異性化が起こり、続いて様々な特徴を持った光中間体(活性型)となることで、多彩な機能(視覚、ATP合成、膜電位の調節など)が発現する。本研究では、ロドプシンの反応を生物の光応答のモデルと捉え、新規分子の探索・解析とその高機能化を実現することで、人工光合成の可能性を拡げることを目的とした研究を行い、以下の3つの成果をあげた。[1] ロドプシンは一般に熱に不安定で、その不安定性は高機能化を行う上で支障になる。そこで、安定な分子の探索と解析を行い、安定化分子の取得に成功した。またそれらの高分解能構造を明らかにし、安定化機構の解明に成功した。[2] 新しい機能を持ったロドプシンの発見や創成は、新しい光生物応答制御を可能とする。そこで、新規ロドプシンの単離・取得・創成を行った。その結果、二価アニオン・SO42-を輸送する新規分子の発見・解析と輸送方向・基質の変換に成功した。[3] ロドプシンの光反応素子および光遺伝学ツールとしての有用性を高めるため、その高機能化を試みた。アミノ酸変異によるイオン輸送力の10倍の向上、カロテノイドアンテナ結合型分子の創成に成功した。これらの成果は、JACS誌2報、Sci. Rep.誌2報を含む原著論文として報告するなど、H27-28年の公募期間2年間の間に、当初想定した予想を超える成果をあげることが出来たと自負している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件) 備考 (1件)
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