研究領域 | 人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合 |
研究課題/領域番号 |
15H00885
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
森本 樹 東京工科大学, 工学部, 講師 (40452015)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 二酸化炭素捕捉 / 二酸化炭素還元 / 光触媒 / 人工光合成 / 金属錯体 |
研究実績の概要 |
二酸化炭素(CO2)還元光触媒反応の高効率化を目指し、CO2捕捉を補助できる置換基を有するレニウム錯体を合成し、その電気化学的性質、CO2捕捉能及び還元能等を検討した。具体的には、レニウム中心近傍にアルコール構造を持つビピリジン配位子を設計・合成し、そのレニウム錯体のCO2捕捉能を検討した。例えば、6位に2-hydroxyphenyl基を持つ2,2’-ビピリジンを有し、溶媒分子を単座配位子とするレニウム錯体に、ジメチルアセトアミド(DMA)-トリエチルアミン(TEA)混合溶液中でCO2を通気したところ、約40%の収率でCO2を捕捉した錯体が生成することが分かった。またこれは、CO2を捕捉できる構造を持つ特定の異性体だけがCO2捕捉に寄与しているためであることも見出した。これらのレニウム錯体の電気化学的性質を参照化合物となる無置換型の錯体と比較すると、いずれの錯体も第1還元波が負側に移動し、また、CO2雰囲気下においては第2還元波付近に大きな触媒電流が観測された。さらに、これらのレニウム錯体のCO2還元光触媒能を比較したところ、DMA-TEA(4:1)混合溶液中CO2雰囲気下で、405 nmの単色光を3時間照射した条件では、無置換型の錯体を用いたときの約3倍の一酸化炭素が生成する触媒系も見られた。光触媒反応を紫外可視吸収スペクトルで追跡した結果から、CO2捕捉のための補助置換基を有する錯体では、CO2還元が促進されたことで、中間生成物であるその1電子還元種がほとんど観測されないことも確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
補助置換基の導入により、二酸化炭素を捕捉し、その還元を促進する金属錯体を開発できたため。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果をもとに、さらに二酸化炭素捕捉能及び還元能の高い光触媒を開発し、また別の金属からなる錯体にも同様の機能を持たせ、新規光触媒系を開発する。
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