研究領域 | 人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合 |
研究課題/領域番号 |
15H00887
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
佐賀 佳央 近畿大学, 理工学部, 准教授 (60411576)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 光合成 / 光捕集アンテナ / 緑色光合成細菌 / クロロフィル / クロロゾーム / 酸化グラフェン |
研究実績の概要 |
太陽光エネルギーを効率よく捕集し伝達する天然型の光合成アンテナ超分子の利用は、人工光合成の高機能化に大きく寄与する。しかし、光合成アンテナは光エネルギー捕集・伝達に機能が特化していることから、人工光合成系に展開するには物質変換機能との融合が必要である。そこで本研究では、緑色光合成細菌の膜外集光アンテナ超分子複合体・クロロゾームに着目した。クロロゾームの膜面で機能するベースプレート(BChl a結合タンパク質)は、緑色光合成細菌でエネルギー仲介に特化し優れた機能を発揮しているが、人工光合成系に展開するためには適しているとは言い難い。クロロゾームのエネルギー受容膜面の機能化は、クロロゾーム内部の秩序だった色素自己会合体の優れた光捕集機能を物質変換機能と融合するための有力な戦略の一つであると考える。そこで本研究では、ベースプレート部分を合成機能分子・ナノ構造体で置換・修飾することによって膜面を機能化する方法論を開発し、クロロゾーム内部の色素自己会合体をで捕集した光エネルギーを高効率で利用可能な天然系-人工系融合システムを構築することを目的とした。 今年度は、ベースプレート部分を合成機能分子で置換する研究では、クロロゾーム内部からの励起エネルギーを受け取る機能を有する両親媒性色素分子をベースプレート欠損クロロゾームと複合化することに成功し、そのエネルギー伝達挙動を解析した。また、ベースプレート部分を修飾する研究では、クロロゾームを酸化グラフェンと複合化させる方法論を開発し、その複合体の分光特性や状態を各種分光法や透過型電子顕微鏡で解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は両親媒性の機能分子のクロロゾームの膜面への導入を主に推進することを計画しており、実際にクロロゾーム内部からのエネルギーアクセプターとして機能する両親媒性の機能分子を合成し、ベースプレートを化学的処理で欠損させたクロロゾームへ導入し機能解析することに成功した。また、クロロゾームのエネルギー受容膜面への機能性ナノ物質の複合化にも着手することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究がおおむね順調に進展していることから、今後も当初の計画通り研究を推進する予定である。すなわち、クロロゾームのエネルギー受容膜面を機能性物質で置換・修飾することで機能化し、人工光合成系の高効率化に対する指針を得ることを目指す。
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