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2015 年度 実績報告書

鉄五核触媒の分子構造制御に基づく低過電圧酸素発生

公募研究

研究領域人工光合成による太陽光エネルギーの物質変換:実用化に向けての異分野融合
研究課題/領域番号 15H00889
研究機関分子科学研究所

研究代表者

正岡 重行  分子科学研究所, 生命・錯体分子科学研究領域, 准教授 (20404048)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード金属錯体 / 酸素発生
研究実績の概要

酸素発生触媒の開発はその困難さから人工光合成を達成するためのボトルネックとなっている。これまでの研究により、多電子酸化還元能と基質活性化サイトを併せ持つFe5錯体が、大きな過電圧が必要ではあるものの、高い触媒回転頻度で水から酸素を生成する触媒として機能することを明らかにした。そこで本研究では、これまでに得た知見を礎に、Fe5錯体触媒を対象として、酸素発生過電圧を劇的に低下を目指した。具体的には、研究戦略①他種の金属イオンの導入による酸化還元電位のチューニング、研究戦略②解離性プロトンの導入による錯体への電荷の蓄積の抑制、という2つの研究戦略に基づき、低過電圧で駆動可能な高活性酸素発生触媒の創出を目指した。その結果、研究戦略①では、Fe5錯体の上下の鉄イオンを他の金属イオンに置換した新規Fe3M2五核錯体を合成した。新規五核錯体の同定は、単結晶X線構造解析、ESI-MS、元素分析を用いて行った。電気化学測定により、酸素発生反応の触媒として機能するかどうか、また、その過電圧がどのように変化するかを調査した。研究戦略②では、解離性プロトンを導入した鉄五核錯体を構築し、その酸化還元挙動と酸素発生触媒能を評価した。同定は、単結晶X線構造解析、ESI-MS、元素分析を用いて行った。単結晶X線構造解析の結果、配位子部位に解離性プロトンが導入されているものの、鉄五核中心の構造は解離性プロトン導入前の構造と類似していた。pH条件を変化させて電気化学測定を行い、プロトン移動能および電子移動能を調査した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

目的とする金属錯体触媒として複数の新規多核錯体を合成し、その酸化還元挙動について調査することができたため。

今後の研究の推進方策

今後は、低過電圧化のために合成した複数の新規多核の機能評価や反応機構解明を行い、得られた知見に基づき新規触媒を設計・合成するなどして、触媒機能の最適化を図る。更に、光化学的に駆動される酸素発生反応が達成できるかどうかも調査する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] A pentanuclear iron catalyst designed for water oxidation2016

    • 著者名/発表者名
      Masaya Okamura, Mio Kondo, Reiko Kuga, Yuki Kurashige, Takeshi Yanai, Shinya Hayami, Vijayendran K. K. Praneeth, Masaki Yoshida, Ko Yoneda, Satoshi Kawata, and Shigeyuki Masaoka
    • 雑誌名

      Nature

      巻: 530 ページ: 465-468

    • DOI

      doi:10.1038/nature16529

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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