公募研究
H27年度において、励起レーザー、X 線集光レンズ、電気ゲート検出法について改良を加えることで、放射光施設PF-ARから 794KHz で発せられるパルスX線を間引かずに全て利用するピコ秒時間分解 XAFS システムが再構築された。ビームラインNW14に設置された周期長 36mm のアンジュレーターを用いると、5-24 keV のエネルギー範囲において、これまでと比べおよそ 3 桁高い平均光子数(> 1E12 photons/s)が時間分解実験で利用可能となり、ピコ秒時間分解 XAFS においては、定常 XAFS 測定と同質のデーターを同じ測定時間で取得することが可能となった。測定においては水の四電子酸化触媒として活性を有するRu(II)錯体や、CO2の光還元機能を有するRe(I)錯体について測定を行い、広い波数空間においてS/N比の良い過渡吸収スペクトルを得た。現在、順調に理論計算と合わせた解析が進んでおり近日中に論文投稿する予定である。
2: おおむね順調に進展している
既に多くの研究予定サンプルにおいて、詳細な励起状態構造を抽出するための、広い波数空間領域における過渡的なシグナル観測に成功できているため、本研究は順調に進展しているといえる。
微量サンプルや溶媒依存性を計測するシステム開発に取り組み、さらに詳細な励起状態構造を議論していく予定である。
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Angewandte Chemie International Edition
巻: 55 ページ: 1364-1367
10.1002/anie.201509252