公募研究
平成27年度では主に以下の研究成果を得た。トリパノソーマ病はヒトや家畜動物に深刻な病害(発熱、貧血、神経症状等)をもたらす難治性の原虫病である。本年度は、宿主動物の血液中で増殖するトリパノソーマ原虫に対してプラズマ照射がどのような効果を示すかについて調べた。その結果、原虫の試験管内培養物を直接プラズマ処理に供したとき、または原虫をプラズマ処理培地で間接的に培養したとき、トリパノソーマの増殖は有意に阻害されることが明らかとなった。また、プラズマ処理培地中での培養開始から3~6時間以内に原虫が動きを停止し、死滅することが観察された。プラズマ処理はトリパノソーマ病に対する新制御法を確立する上で、有効な技術シーズとなることが示された。
2: おおむね順調に進展している
原虫の試験管内培養系を用いて、プラズマ照射がトリパノソーマの増殖を有意に阻害できる新たな知見を得ることができたことから、おおむね順調に研究は進展していると考える。
平成28年度では、得られた“トリパノソーマに対するプラズマ照射の抑制効果”を足がかりに、生化学的及び形態学的手法を用いてその作用機序を推定し、トリパノソーマ病に対する新たな制御法を考案する。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件)
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