公募研究
近年、ナノテクノロジーの医療応用の研究が進み、ナノ粒子は、疾患の診断や治療のための媒体として有望視されており、その臨床応用も進みつつある。金属をナノスケールまで、微小化すると一般の特性とは異なる性質を示すことがある。ナノ化された白金粒子は、スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)およびカタラーゼ活性を示すことが報告されているので、白金ナノ粒子(Nano-Pt)を用いて、大気圧プラズマ誘発アポトーシスに対する作用について調べた。大気圧非平衡アルゴン(Ar)プラズマ発生条件は印加電圧18 kV、周波数:20 kHz、ガス流量:2 l/min.である。調べたところプラズマによる化学作用も距離に反比例するので、主な実験は照射口から8 mmの距離で行った。プラズマの化学的指標として、水溶液中に生成するOHラジカル(・OH)等についてDMPO (5,5-dimethyl-1-pyrroline-N-oxide)をスピン補捉剤として用いてEPR‐スピン補捉法で検討した。Arプラズマを照射した細胞内活性酸素種の測定には5種類の蛍光試薬を用いフローサイトメトリーで調べた。細胞内に生成する活性種は・OH,H2O2,OCl-,および僅かなO2.- と思われる。尚、水溶液中に亜硝酸塩の生成が認められるので、細胞内にも存在すると思われる。Nano-Ptを利用して、これらの活性酸素種の除去およびアポトーシスへの影響を検討した。その結果、有意な細胞内活性酸素種の低下およびアポトーシス抑制効果を認めた。現在、窒素添加効果、温熱併用効果についても検討している。
2: おおむね順調に進展している
細胞内外の活性酸素生成、プラズマ移送気体への窒素添加、ナノ白金粒子添加効果など、論文として公表できた。
細胞内への活性酸素の導入、揮発性溶質への影響など、検討する予定である。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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