公募研究
腫瘍（がん）には「腫瘍（がん）幹細胞」と呼ばれる化学療法や放射線療法に抵抗性で，再発や転移の原因になると考えられている細胞群が存在し，この腫瘍幹細胞の制御ががん治療の重要な鍵となっている．光・電子・イオン・ラジカルの集合体であり固体・液体・気体に続く物質の第4の状態といわれるプラズマは，多彩な作用点を有することから，プラズマ照射による治療が腫瘍幹細胞に対して有効であれば，治療に伴う正常組織の破壊を抑えた低侵襲性のがん治療法として有用になる可能性がある．そこで，多くの腫瘍で腫瘍幹細胞のマーカーとされているアルデヒド脱水素酵素（ALDH）をターゲットとして，プラズマ活性溶液(plasma-activated medium: PAM)による腫瘍幹細胞制御の検討を行った．PAMを投与することにより子宮類内膜腺癌細胞や胃癌細胞は，cell viabilityの低下，アポトーシスの増加がみられ，ALDH高発現細胞の減少が認められた．また，抗癌剤シスプラチンとPAMを併用することにより各々単独投与に比べより高い抗腫瘍効果が得られ，抗癌剤の投与量を調整することでその副作用を軽減できる可能性が示唆される結果となった．これらの抗腫瘍効果は腫瘍幹細胞，非腫瘍幹細胞ともに同程度認められた．さらに担癌マウスを用いた結果においてもPAM投与群の方が非投与群と比較して高い抗腫瘍効果を示す傾向が認められた．以上の結果はこれまでに行ったプラズマ直接照射による検討と同様の結果であり，PAM投与においても腫瘍幹細胞を制御できる可能性が示唆された．
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (28件) (うち国際学会 13件、 招待講演 3件)
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