• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実績報告書

翻訳抑制因子Pdcd4を標的としたプラズマ医療の基盤研究

公募研究

研究領域プラズマ医療科学の創成
研究課題/領域番号 15H00898
研究機関熊本大学

研究代表者

江頭 恒  熊本大学, 大学院自然科学研究科(理), 准教授 (40359964)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードプラズマ / 翻訳抑制因子Pdcd4 / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / 酸化ストレス / プラズマ照射水 / 腫瘍抑制
研究実績の概要

本研究は、プラズマがPdcd4を消失させることで細胞死を誘導する分子機構を解明し、その知見をもとにガン治療などのプラズマ医療の構築に向けた基盤となることを目的とする。
平成27年度は、以下の研究内容を実施し、研究成果を得た。1)Pdcd4が全身で高発現する条件付きトランスジェニック(Tg)マウスを作出し、プラズマによる細胞死誘導や腫瘍形成へのPdcd4の役割を個体レベルで解析するために、2種類のトランスジーンを構築した。時間は多少かかったものの、本実験は順調に進捗している。2)Pdcd4を欠損するガン細胞、あるいは過剰発現する正常細胞を用いて、プラズマによる細胞死誘導や腫瘍形成へのPdcd4の役割を細胞レベルで解析するために、Pdcd4を欠損するガン細胞、過剰発現する正常細胞を作製し、プラズマを照射した培地や生理食塩水で培養した。その結果、Pdcd4を欠損する細胞では、プラズマによる細胞死が促進され、一方、Pdcd4を過剰発現する細胞では、プラズマによる細胞死が抑制された。本実験は順調に進捗している。3)Pdcd4を欠損するガン細胞、あるいは過剰発現する正常細胞を免疫機能欠陥マウスの皮下などに移植し、プラズマによる細胞死誘導や腫瘍形成へのPdcd4の役割を個体レベルで解析するために、移植条件の検討を行っているところである。これは、本実験を進める上で必要なステップである。4)Pdcd4がプラズマに応答して消失し、細胞死を誘導する分子機構を解明するために、プラズマによるPdcd4の消失とプラズマによって起こる細胞死の様式を詳細に解析した。その結果、プラズマはPdcd4を消失し、細胞死を誘導することが分かった。また、プラズマによる細胞死は、これまで知られている様式とは異なる新しい様式で誘導されることが分かった。本実験は当初の予想を上回る大きな発見をもたらした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

プラズマによる細胞死は、当初予想していたアポトーシスで誘導されるのではないこと、他の様式についても検討したが、これまで知られている様式とは明らかに異なる様式で起こることを明らかにした。これは、非常に興味深く、新たな大発見である。このように、本研究は当初の予想を上回る展開をもたらしたことから、順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、Pdcd4を介したプラズマによる細胞死誘導の分子機構や腫瘍抑制における役割を細胞や個体を用いて解析するために、当初計画していた研究内容を推進する。1)Pdcd4の条件付きTgマウスを作出し、プラズマによる細胞死誘導、腫瘍形成に及ぼすPdcd4の役割を調べる。2)Pdcd4の欠損、あるいは過剰発現がプラズマによる細胞死誘導、腫瘍形成に及ぼす影響を細胞レベルでさらに詳細に解析する。3)Pdcd4の欠損、あるいは過剰発現がプラズマによる細胞死誘導、腫瘍形成に及ぼす影響を個体レベルで解析する。4)プラズマによる細胞死誘導機構をさらに詳細に解析する。5)これまでの研究結果を踏まえ、Pdcd4を標的としたプラズマによるガン治療を展開するための基盤研究を行う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Nociceptin and meiosis during spermatogenesis in postnatal testes2015

    • 著者名/発表者名
      Ko Eto
    • 雑誌名

      Vitam Horm

      巻: 97 ページ: 167-186

    • DOI

      10.1016/bs.vh.2014.10.003.

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] The sex-dependent differences in expression of DEAD-box family protein rck/p54 in murine organs2015

    • 著者名/発表者名
      宮口恭兵、江頭恒
    • 学会等名
      第40回 日本比較内分泌学会大会日本比較生理生化学会第37回大会合同大会
    • 発表場所
      広島、アステールプラザ
    • 年月日
      2015-12-11 – 2015-12-13
  • [学会発表] 細胞が生きるか死ぬかは翻訳阻害因子Pdcd4によって決められるか?2015

    • 著者名/発表者名
      高木翔平、江頭恒
    • 学会等名
      第38回 日本分子生物学会年会 第88回 日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸、神戸ポートピアホテル 他
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Posttranscriptional mechanisms inhibiting cell proliferation and apoptotic cell death by the RNA-binding protein RBM32015

    • 著者名/発表者名
      柴田大圭、生塩文子、〇江頭恒
    • 学会等名
      第38回 日本分子生物学会年会 第88回 日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸、神戸ポートピアホテル 他
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] 酸化ストレスによる細胞死誘導機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      上島 将貴、江頭 恒
    • 学会等名
      第38回 日本分子生物学会年会 第88回 日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸、神戸ポートピアホテル 他
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] ダウン症候群に関連したキナーゼDYRK1Aによるアポトーシス誘導機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      百留雄祐、上島将貴、江頭恒
    • 学会等名
      第38回 日本分子生物学会年会 第88回 日本生化学会大会 合同大会
    • 発表場所
      神戸、神戸ポートピアホテル 他
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] DYRK1Aのダウン症候群における発現量効果は遺伝子発現の転写後制御に依存する2015

    • 著者名/発表者名
      上島将貴、百留雄祐、江頭恒
    • 学会等名
      日本動物学会第86回大会
    • 発表場所
      新潟、朱鷺メッセ
    • 年月日
      2015-09-17 – 2015-09-19
  • [学会発表] RNA結合タンパク質RBM3を介した細胞増殖の制御機構の解明2015

    • 著者名/発表者名
      柴田大圭、江頭恒
    • 学会等名
      第67回日本細胞生物学会大会
    • 発表場所
      東京、タワーホール船堀
    • 年月日
      2015-06-30 – 2015-07-02
  • [備考] 熊本大学理学部

    • URL

      http://www.sci.kumamoto-u.ac.jp/index-j.html

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi