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2015 年度 実績報告書

ヒトES/iPS細胞の維持と分化におけるプラズマ照射効果と分子生物学的基盤の形成

公募研究

研究領域プラズマ医療科学の創成
研究課題/領域番号 15H00904
研究機関創価大学

研究代表者

西原 祥子  創価大学, 理工学部, 教授 (00164575)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードプラズマ照射 / 胚性幹細胞 / 胚様体形成 / 分化 / H2O2 / FGFシグナル / Wntシグナル / 活性酸素
研究実績の概要

低周波低温大気圧プラズマを生体に照射すると、様々な生体組織からの応答が認められる。このため、低周波低温大気圧プラズマの医療への応用が行われようとしている。しかし、細胞応答の機構はほとんど明らかにされていない。
胚性幹細胞(ES細胞)は、多能性を持ち、生体を構成するすべての細胞へと分化する。マウスES細胞は、LIFを除いて浮遊培養すると、マウス胚を模した分化過程を経て、エピブラスト(着床後胚)から、三胚葉(内胚葉、中胚葉、外胚葉)で構成される胚様体へと分化する。我々は、この分化系を用い、プラズマ照射の分化に与える影響を検討している。
前年度までの研究で、細胞への直接のプラズマ照射の有無にかかわらず、プラズマ照射した培地で培養すると、エピブラストへの分化が促進され、それに続く中胚葉と内胚葉分化の抑制、外胚葉から神経分化の促進が起こることが明らかになった。本年度は、これらに関わる分子種を明らかにした。
冷蔵保存した培地でも同様な効果が認められたため、本効果は、プラズマ照射した培地中の寿命の比較的長い分子種に由来すると考えられた。そこで、プラズマ照射した培地中のH2O2と等量のH2O2をプラズマ照射していない培地に加え、検討を行った。中胚葉と内胚葉分化の抑制にはH2O2以外のプラズマ照射特有の分子種が関与し、エピブラストへの分化の促進と外胚葉分化から神経分化の促進にはH2O2が主に関与していた。また、エピブラストへの分化と外胚葉分化から神経分化の促進では、リン酸化ERKが増加しており、FGFシグナルの活性化が分化促進の原因になっていた。中胚葉と内胚葉分化の抑制では、Wntシグナルが抑制されていることも明らかになった。これらの事実から、プラズマ照射が、産生する活性酸素種を介して分化に関わるシグナルを制御し、細胞の分化に影響を与えることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

プラズマ照射が、産生するH2O2などの活性酸素種などを介して分化に関わるシグナルを制御し、細胞の分化に影響を与えることを明らかにすることができ、計画は、おおむね順調に進んでいる。論文の出版、関連特許の提出も行った。

今後の研究の推進方策

今後は、以下の2点について、検討を行う。
(1)中胚葉と内胚葉の分化の抑制を引き起こしているWntシグナルの抑制には、H2O2は関わっていなかった。今年度は、Wntシグナルの抑制にどのような分子種が関わっているか明らかにする。
(2)ヒトES細胞とiPS細胞において、同様な効果があるか、検討を行う。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 産業財産権 (1件)

  • [国際共同研究] Radboud University(オランダ)

    • 国名
      オランダ
    • 外国機関名
      Radboud University
  • [雑誌論文] Atmospheric-pressure plasma-irradiation inhibits mouse embryonic stem cell differentiation to mesoderm and endoderm but promotes ectoderm differentiation2016

    • 著者名/発表者名
      Miura T, Hamaguchi S, Nishihara S
    • 雑誌名

      J. Phys. D: Appl. Phys.

      巻: 49 ページ: 165401:1-12

    • DOI

      10.1088/0022-3727/49/16/165401

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Atmospheric-pressure plasma irradiation on embryonic stem cells: signals and differentiation2016

    • 著者名/発表者名
      Nishihara S
    • 学会等名
      6th International Conference on Plasma Medicine (ICPM-6)
    • 発表場所
      Bratislava, Slovakia
    • 年月日
      2016-09-04 – 2016-09-09
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] プラズマ照射によるES細胞の分化制御効果:各種シグナル経路の活性化と抑制2016

    • 著者名/発表者名
      西原祥子
    • 学会等名
      第57回日本組織細胞化学会総会・学術集会 シンポジウム
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-09-03 – 2016-09-04
    • 招待講演
  • [学会発表] Effects of low-temperature atmospheric-pressure plasma irradiation on mouse embryonic stem cells2016

    • 著者名/発表者名
      Nishihara S, Miura T, Hamaguchi S
    • 学会等名
      5th International Conference on Advanced Plasma Technologies
    • 発表場所
      Zrece, Slovenia
    • 年月日
      2016-02-28 – 2016-03-03
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] プラズマ照射のES細胞の分化への影響2015

    • 著者名/発表者名
      西原祥子
    • 学会等名
      新学術領域研究「プラズマ医療科学の創成」+「統合的神経機能の制御を標的とした糖鎖の作動原理解明」合同公開シンポジウム
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2015-08-05
    • 招待講演
  • [産業財産権] 胚様体を外胚葉へと分化誘導する方法2015

    • 発明者名
      西原祥子、三浦太一、浜口智志
    • 権利者名
      学校法人創価大学
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2015-231156
    • 出願年月日
      2015-11-26

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-02-16  

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