プラズマ照射による中枢神経組織・細胞制御と機能再生

2016 年度 実績報告書

• 研究領域: プラズマ医療科学の創成
• 研究課題/領域番号: 15H00905
• 研究機関: 国立研究開発法人理化学研究所
• 研究代表者: 片岡 洋祐 国立研究開発法人理化学研究所, ライフサイエンス技術基盤研究センター, チームリーダー (40291033)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: プラズマ / 中枢神経 / 幹細胞 / 再生 / スフェア

研究実績の概要

プラズマは光・電子・イオン・ラジカルの集団で、生体分子や組織と相互作用することが知られ、近年、癌治療や止血等に応用されようとしている。しかしながら、中枢神経組織へのプラズマの作用については報告が少なく、その応用の可能性は未知数である。本研究ではラットの中枢神経組織を対象に大気圧プラズマを照射し、神経伝達や組織の可塑性・再生機能へ及ぼす効果を検討した。特に、大脳新皮質へ大気圧プラズマを直接照射して、その後の組織学的な変化を観察した結果、照射3日から7日後にかけて、大脳皮質の照射部位近傍において、グリア前駆細胞マーカーを発現する細胞やミクログリアマーカーを発現する細胞などの複数の細胞種が層状に配列する特徴的な組織構築が形成され、組織の再生を誘導する再生面を形成することを発見した。また、照射後3日をピークに未分化細胞マーカーを発現する細胞も多数出現し、活発に増殖していることも見出した。そこで、こうした大脳皮質組織を採取し、培養試験系にてスフェア形成実験を実施し、多分化能を有する幹細胞が誘導されているかを検討した。その結果、プラズマ照射組織からは大型のスフェアが多数形成され、分化誘導するとニューロン・オリゴデンドロサイト・アストロサイトなどの中枢神経細胞が得られることもわかった。大気圧プラズマ照射技術は、今後、中枢神経組織をはじめ、生体のさまざまな組織の再生医療に応用展開できる可能性が見出された。

現在までの達成度 (段落)

28年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

28年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] PET imaging of neurogenic activity in the adult brain: toward in vivo imaging of human neurogenesis. (2017)
  • 著者名/発表者名: Tamura, Y. and Kataoka, Y.
  • 雑誌名: Neurogenesis 巻: 4(1) ページ: e1281861
  • DOI: 10.1080/23262133.2017.1281861.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Music improves subjective feelings leading to cardiac autonomic nervous modulation: A pilot study. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kume, S., Nishimura, Y., Mizuno, K., Sakimoto, N., Hori, H., Tamura, Y., Yamato, M., Mitsuhashi, R., Akiba, K., Koizumi, J., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.. (
  • 雑誌名: Front. Neurosci. 巻: 11 ページ: 108
  • DOI: 10.3389/fnins.2017.00108.
  • 査読あり
• [雑誌論文] NG2 glial cells regulate neuroimmunological responses to maintain neuronal function and survival. (2017)
  • 著者名/発表者名: Nakano, M., Tamura, Y., Yamato, M., Kume, S., Eguchi, A., Takata, K., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.
  • 雑誌名: Sci. Rep. 巻: 7 ページ: 42041
  • DOI: 10.1038/srep42041
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] PETを用いた分子イメージング (2017)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐、渡辺恭良
  • 雑誌名: 日本レーザー医学会誌 巻: 37、No. 4 ページ: 473-478
  • 査読あり
• [雑誌論文] Noninvasive evaluation of cellular proliferative activity in brain neurogenic regions in rats under depression and the treatment by enhanced [18F]FLT PET imaging. (2016)
  • 著者名/発表者名: Tamura, Y., Takahashi, K., Takata, K., Eguchi, A., Yamato, M., Kume, S., Nakano, M., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.
  • 雑誌名: J. Neurosci. 巻: 36 ページ: 8123-8131
  • DOI: org/10.1523/JNEUROSCI.0220-16.2016
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Index markers of chronic fatigue syndrome with dysfunction of TCA and urea cycles. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yamano, E., Sugimoto, M., Hirayama, A., Kume, S., Yamato, M., Jin, G., Tajima, S., Goda, N., Iwai, K., Fukuda, S., Yamaguti, K., Kuratsune, H., Soga, T., Watanabe, Y., and Kataoka, Y.
  • 雑誌名: Sci. Rep. 巻: 6 ページ: 34990
  • DOI: 10.1038/srep34990
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Energetic basis on interactions between ferredoxin and ferredoxin NADP+ reductase at varying physiological conditions. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kinoshita, M., Kim, J.Y., S., Lin, Y., Hun Mok K., Kataoka, Y., Ishimori, K., Markova, N., Kurisu, G., Hase, T., Lee, Y.H.
  • 雑誌名: Biochem. Biophys. Res. Commun. 巻: 482 ページ: 909-915
  • DOI: 10.1016/j.bbrc.2016.11.132.
  • 査読あり
• [雑誌論文] 複合疲労モデル動物を利用した疲労の潜在的代謝物バイオマーカーの探索研究 (2016)
  • 著者名/発表者名: 久米慧嗣、大和正典、片岡洋祐
  • 雑誌名: 日本疲労学会誌 巻: 11、No. 2 ページ: 26-31
  • 査読あり
• [学会発表] Effect of atmospheric-pressure plasma irradiation to adult rat brain. (2017)
  • 著者名/発表者名: Yamato, M., Tamura, Y., Nakano, M., Kume, S., Egichi, A., Takata, K., Kataoka, Y.
  • 学会等名: International Conference of Plasma Medical Science Innovation 2017
  • 発表場所: 名古屋大学・（愛知県・名古屋市）
  • 年月日: 2017-02-27 – 2017-02-28
  • 国際学会
• [学会発表] 遺伝子特異的タンパク翻訳レベルの亢進を起こす新規ノンコーディングRNA（SINEUP）のin vitro及びin vivo評価システムの構築 (2016)
  • 著者名/発表者名: 新田和広、高橋 葉月、中野 真行、Ana Maria Suzuki、Ana Kozhuharova、Harshita Sharma、片岡洋祐、Silvia Zucchelli、Stefano Gustincich、Piero Carninci
  • 学会等名: 第39回 日本分子生物学会年会
  • 発表場所: パシフィコ横浜・（神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-11-30 – 2016-12-02
• [学会発表] がん微小環境を長期間連続観察できる in vivo 顕微内視鏡システムの開発 (2016)
  • 著者名/発表者名: 中野真行、後藤俊志、阪上（沢野）朝子、安藤亮子、宮脇敦史、渡辺恭良、片岡洋祐、船曳和雄
  • 学会等名: 第39回日本分子生物学会年会
  • 発表場所: パシフィコ横浜・（神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-11-30 – 2016-12-02
• [学会発表] メタボローム解析による慢性疲労症候群診断バイオマーカーの探索 (2016)
  • 著者名/発表者名: 山野恵美、久米慧嗣、大和正典、田島世貴、福田早苗、倉恒弘彦、渡辺恭良、片岡洋祐
  • 学会等名: 第10回メタボロームシンポジウム
  • 発表場所: 鶴岡メタボロームキャンパス・（山形県・鶴岡市）
  • 年月日: 2016-10-19 – 2016-10-21
• [学会発表] ., Ontology development for integrated image analysis platform to enable global sharing of microscopy imaging data. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kume, S., Masuya, H., Kataoka, Y. , Kobayashi, M.
  • 学会等名: The 15th International Semantic Web Conference
  • 発表場所: 神戸国際会館・（兵庫県・神戸市）
  • 年月日: 2016-10-17 – 2016-10-21
  • 国際学会
• [学会発表] コムギ末粉抽出物の神経新生作用 (2016)
  • 著者名/発表者名: 西村深雪、山田昌良、魚津伸夫、由井慶、田村泰久、片岡洋祐
  • 学会等名: 第38回日本臨床栄養学会総会
  • 発表場所: 大阪国際会議場・（大阪府・大阪市）
  • 年月日: 2016-10-07 – 2016-10-09
• [学会発表] Research platform for overcoming stress and fatigue. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kataoka, Y.
  • 学会等名: The 3rd International Conference on Universal Village
  • 発表場所: 名古屋大学・（愛知県・名古屋市）
  • 年月日: 2016-10-06 – 2016-10-08
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] Effect of atmospheric-pressure plasma irradiation on the central nervous system of adult rats. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kataoka, Y. , Yamato, M., Nakano, M., Kume, S., Tamura, Y.
  • 学会等名: International Conference on Plasma Medicine
  • 発表場所: Bratislava, Slovakia
  • 年月日: 2016-09-04 – 2016-09-09
  • 国際学会
• [学会発表] 中枢神経組織へのプラズマ照射により出現する細胞と組織構築 (2016)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐、大和正典
  • 学会等名: 日本組織細胞化学会
  • 発表場所: 杏林大学・（東京都・三鷹市）
  • 年月日: 2016-09-03 – 2016-09-04
  • 招待講演
• [学会発表] 基板吊り下げ型補助具を用いた超薄連続切片回収法 (2016)
  • 著者名/発表者名: 小池太郎、片岡洋祐、前田光代、齊藤育、高森康晴、山田久夫
  • 学会等名: 日本組織細胞化学会
  • 発表場所: 杏林大学・（東京都・三鷹市）
  • 年月日: 2016-09-03 – 2016-09-04
• [学会発表] LLLTと神経・免疫 (2016)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐
  • 学会等名: 日本レーザー治療学会
  • 発表場所: 横浜情報文化センター・（神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-06-25 – 2016-06-26
  • 招待講演
• [学会発表] 疲労病態のメカニズム解明と健康産業への新展開 (2016)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐
  • 学会等名: 日本ビタミン学会
  • 発表場所: 富山国際会議場・（富山県・富山市）
  • 年月日: 2016-06-17 – 2016-06-18
  • 招待講演
• [学会発表] 疲労代謝の分子機構の解明、および疲労の潜在的代謝物マーカーの探索研究 (2016)
  • 著者名/発表者名: 久米 慧嗣、大和 正典、山野 恵美、片岡洋祐
  • 学会等名: 日本疲労学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜・(神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-05-20 – 2016-05-21
  • 招待講演
• [学会発表] 高齢者へのダイバージョナルセラピー前後における介護職員の気分変化 -KOKOROスケールを用いた各介護業務中の気分測定- (2016)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐、久米慧嗣
  • 学会等名: 日本疲労学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜・(神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-05-20 – 2016-05-21
• [学会発表] エネルギー代謝を低下させた疲労動物モデルにおける脳内神経炎症の惹起 (2016)
  • 著者名/発表者名: 大和正典、久米慧嗣、中野真行、江口麻美、高田孔美、田村泰久、片岡洋祐
  • 学会等名: 日本疲労学会
  • 発表場所: パシフィコ横浜・(神奈川県・横浜市）
  • 年月日: 2016-05-20 – 2016-05-21
• [図書] 製品開発のための生体情報の計測手法と活用ノウハウ -脳計測・生理計測に基づく客観的な感性評価を商品へ活かす- （各種生体データを用いた疲労・ストレス評価） (2017)
  • 著者名/発表者名: 片岡洋祐
  • 総ページ数: 255 （８）
  • 出版者: 情報機構
• [備考] 炎症から脳神経を保護するグリア細胞 －中枢神経疾患の予防・治療法の開発に期待－
  • URL: http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170214_2/
• [備考] 環境音楽聴取時の気分変化から自律神経機能を予測 －音楽による自律神経バランスの改善に期待－
  • URL: http://www.riken.jp/pr/press/2017/20170427_1/
• [備考] 神経新生の生体イメージングに成功
  • URL: http://www.riken.jp/pr/press/2016/20160830_1/
• [産業財産権] 大気圧プラズマを用いた生体組織内での幹細胞誘導とスフェア形成技術 (2016)
  • 発明者名: 片岡洋祐、大和正典、田村泰久、中野真行、堀勝、石川健治、池原譲
  • 権利者名: 理化学研究所、名古屋大学、産業技術総合研究所
  • 産業財産権種類: 特許
  • 産業財産権番号: 2016-170285
  • 出願年月日: 2016-08-31