公募研究
(1) N-ヘテロ環状カルベン(NHC)部位を導入したキレート配位子を有するルテニウム(II)-アクア錯体を、酸性水溶液中でプロトン共役電子移動酸化することにより、前例のないルテニウム(III)-オキシル(Ru(III)-O・)錯体の生成に成功し、その分光学的キャラクタリゼーションを行った。その錯体は、従来知られているルテニウム(IV)-オキソ(Ru(IV)=O)錯体と電子的に等価であるが、強いラジカル性を有することがわかった。Ru(III)-O・錯体は、そのラジカル性を反映した、Ru(IV)=O錯体とは異なる反応性を示した。さらに、Ru(III)-O・錯体を酸化活性種とするベンゼン誘導体の低温における酸化的分解反応を開発した。(2) ルテニウム(V)-イミド錯体によるp-エチルベンゼンスルホン酸ナトリウムのヒドリド移動を伴うC-H酸化反応について、C-H結合の速度論的同位体効果(KIE)及び溶媒(H2O/D2O)の同位体効果(sKIE)を決定した。その結果、KIEは20となり、ヒドリド移動過程にトンネル効果が認められた。さらに、sKIEが17となり、水分子がヒドリド移動の遷移状態に関与していることが示唆された。(3) 3座配位子であるトリシクロフォスフェート(P3O9(3-))及び2座配位子であるジイミンを(2,2’-ビピリジンなど)を有するRu(III)-アクア錯体を合成し、そのキャラクタリゼーションとメタクロロ過安息香酸(mCPBA)との反応を試みた。その結果、Ru(III)-アクア錯体は2段階の酸化還元課程を示すことがわかった。また、mCPBAとRu(III)-アクア錯体との反応において、Class IIに分類される混合原子価状態にあるオキソ架橋Ru(III)-Ru(IV)複核錯体の生成が認められた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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