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2015 年度 実績報告書

セレノカルボニル基に由来する感応性化学種・機能性物質群の創製

公募研究

研究領域感応性化学種が拓く新物質科学
研究課題/領域番号 15H00933
研究機関岐阜大学

研究代表者

村井 利昭  岐阜大学, 工学部, 教授 (70166239)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード感応性化学種 / α-セレノピロン / セレノクマリン / セレノピリリウム塩
研究実績の概要

カルボニル基の酸素原子をセレン原子に置き換えたセレノカルボニル化合物は、セレン原子上にLUMOが広がっていることから求核剤がセレン上を攻撃するなど、通常のカルボニル化合物とは異なる特異な反応性を示すため、合成化学上有用な官能基の一つである。その構築法としてカルボニル化合物に対してアミン存在下、単体セレン、ヒドロクロロシランとを反応させる方法が開発されてきた。これまですでにこれを用いてクマリンや2-ピロンのC=O基をC=Se基に置換える反応が行われ、得られた生成物の構造も解明されてきた。それに対して今回一連の2-ピロンやクマリンを系統的に合成し、それらに対する求核剤、親電子剤の反応を行い、以下の成果を得た。
まず、4-アリール-6-メチル-2H-ピロンのセレノ化反応を検討している。組込まれている置換基によって反応条件の最適化が必要であったが、いずれの基質でも対応するセレノピロンの合成に成功している。更に同様の反応をイソクマリン及びクマリン誘導体でも検討し、低収率ではあるもののセレノ化体を得ている。
今後その反応性を解明する計画である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

感応性化学種を発現すべく、C=Seを有する前例のないα-セレノピロンの合成を行ってきた。その結果。α-ピロンに対してアミン存在下、単体セレン、ヒドロクロロシランを加える反応条件を最適化することで、期待の生成物を得ることに成功した。その分子の安定性が置換基に依存すること、また分子構造もX構造解析より明らかにできたことから、概ね順調に進展していると言うことができる。ついで、反応性を探索すべく様々な求核剤の付加を行った。α-セレノピロンにGrignard反応剤を加えると、出発化合物は瞬時に消失するものの、複雑な混合物を与えたことから、この生成物分布の解明、他の反応剤との反応を行いたい。

今後の研究の推進方策

これまで合成できたα-セレノピロンならびにクマリンの、求電子剤、求核剤との反応性を系統的に解明し、準安定な感応性化学種の創製を目指す。
1、求核剤として、これまでは反応性の高いGrignard反応剤を用いていたが、これに替えて亜鉛反応剤やアリルシランのようなマイルドな反応性を示す求核剤を用いた反応を行い、単一の生成物を得ることを目的とする。
2、さらに求電子剤としてヨウ化メチルのようなアルキル化剤を用いて、セレン原子上での選択的アルキル化を経た、活性化学種の創製を目指す。
これに加えて、今年度はP=Se結合を有する化合物から発生できる活性種についても、合成方法の開拓、反応性や構造を明らかにする。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Discrimination of remote chirality of primary alcohols using 1,1′-Binaphthyl-2,2′--Diyl phosphoroselenoyl chlorides as a chiral molecular tool2016

    • 著者名/発表者名
      Toshiaki Murai, Hikaru Itoh
    • 雑誌名

      Phosphorus, Sulfur, and Silicon and the Related Elements

      巻: 191 ページ: 163-173

    • DOI

      10.1080/10426507.2015.1085050

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2017-01-06  

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