無置換体合成するために必要であった前駆体(3)の合成に成功し,これを用いて様々な無置換体の合成を行った。そのうち,5量体(4)では従来のメチルチオ基を無置換にすることにより放電容量が向上し,その結果初回放電時におけるエネルギー密度(放電容量×電圧)を向上(700 mWh/g → 731 mWh/g)させることに成功した。 サイクル寿命や活物質量の向上を目指した分子として下記に示したような分子系の合成に成功し,これらを用いた充放電試験を行った。その中でもベンゾキノンが縮合した分子(5)の放電エネルギー密度は800 mW/gを超えることを見出した。 広報活動の一環として研究会「有機二次電池研究の最前線2017」を開催した。愛媛大学以外に産総研,大阪府立大学,関西学院大学,大阪電気通信大学,米子高専の研究者,学生が参加し,講演,ポスター発表を通じて活発な研究討論が行われた。期間内に共同研究打ち合わせや外部資金獲得に向けた話し合いも併せて行った。
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