研究領域 | 感応性化学種が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
15H00958
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
松坂 裕之 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50221586)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | スチリルベンゼン / パラジスチリルベンゼン / ルテニウム / アレーン / 脱水縮合 / メチレンシクロヘキサジエニル錯体 |
研究実績の概要 |
本研究では、配位不飽和性と電子的柔軟性を兼ね備えた感応性化学種としてのヘテロ原子架橋配位不飽和低原子価基金属クラスターの創製と、多核サイト上での効率的結合形成反応の開拓にとりくんでいる。その過程で、遊離のトシルアミドアニオンを対アニオンとするカチオン性ルテニウムアレーン錯体を触媒とする、スチリルベンゼンおよびp-ジスチリルベンゼン類の原子効率性の高い新規合成反応を見出した。[(h5-C5Me5)Ru(h6-toluene)]NHTs (1) 触媒存在下、ベンズアルデヒド類とトルエンとの脱水縮合反応が進行し、対応するスチリルベンゼン類が得られることを見出した。化学量論量の試薬を必要とする従来のカルボニルオレフィン化反応であるWittig反応やMcMurry 反応と比較すると、本反応は触媒的に進行し、しかも副生成物は水のみであることから、きわめて原子効率性の高い新規反応と言える。反応条件を詳細に検討した結果得られた知見に基づき、本反応は1の脱プロトン化により生成するメチレンシクロヘキサジエニル錯体(h5-C5Me5)Ru(h5-C6H5CH2) (2) による芳香族アルデヒドのN-トシルイミンに対する求核攻撃を経て進行しているものと推定している。さらに、系中で触媒を調製して同様の反応を行い、p-ジスチリルベンゼン類が得られることも判明した。p-ジスチリルベンゼンは高い発光効率をもつ蛍光分子として有機ELなどの光機能材料として注目されている化合物であり、その簡便な合成法の開拓は興味深い課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
配位不飽和性と電子的柔軟性を兼ね備えた感応性化学種としてのヘテロ原子架橋配位不飽和低原子価基金属クラスターの創製と機能開拓に関する研究の過程で、配位不飽和2核ルテニウム錯体を触媒前駆体とする、原子効率性の極めて高い新しいタイプの触媒的カルボニルオレフィン化反応を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度見出した触媒的カルボニルオレフィン化反応の反応機構の詳細と基質適用範囲を解明し、機能性有機分子を構築する原子効率性の高い新反応性としての有用性を明らかにする。さらに、アミドやイミドなどを架橋配位子とする新規な低原子価配位不飽和貴金属クラスターの合成と反応性開拓にむけた研究をより一層推進する。
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