公募研究
シトクロムc酸化酵素(CcO)は、酸素分子を水にまで還元し、同時にプロトンを膜の内側から外側へ能動輸送するプロトンポンプとして働く。こうして膜に生じる電気化学的ポテンシャルにより、ATPが合成される。CcOによる酸素分子還元は、ヘム(Fe)とCuの二核中心で行われる。Feと酸素分子との反応ではまず酸素化型が生じ、次にP中間体が生じる。この段階で酸素分子は4電子を受け取っており、2個はFeから、1個はCuから供給される。4個目は、Cuの配位子であるH240と翻訳後修飾により結合したY244から供給されると考えられており、この場合チロシンラジカルが生じるが、直接的な証拠は無い。そこで、本研究では紫外共鳴ラマン分光法を用いてチロシンラジカルの検出を試みた。その結果、平成27年度に励起波長244 nmのCcOの紫外共鳴ラマンスペクトルにおいて、1404波数と1518波数にラマンバンドを検出した。共鳴ラマンスペクトルのこの特徴から、P中間体にはチロシンラジカルが生成することがはっきりした。平成28年度には、このチロシンラジカルの性質をより詳しく調べるため、可視共鳴ラマン分光によるチロシン残基の検出を試みた。励起波長441.6 nm、590 nmおよび607.0 nmで測定したが、チロシン残基由来の信号ははっきりしなかった。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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